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江戸末期の駿府の歌集解読 静岡の郷土史研究家が出版

(2018/1/6 08:32)
桜井仁さんが解読した江戸時代末期の駿府の歌人による「蔵山和歌集」のコピー=県庁
桜井仁さんが解読した江戸時代末期の駿府の歌人による「蔵山和歌集」のコピー=県庁

 静岡市葵区瀬名川の郷土史研究家桜井仁さん(64)がこのほど、江戸時代末期の駿府の歌人31人による合同歌集「蔵山和歌集」を解読して出版した。当時の社会背景や文化を知る上で貴重な資料になる和歌集で、桜井さんは「当時の駿府の文化について研究が進めばうれしい」と話している。
 「吹く風の夜寒(よさむ)になればからごろも宇津の山辺も響き合ふらむ」。風が冷たくなると、あちこちで冬着の準備のために布をたたく音がして、その音が宇津ノ谷(静岡市葵区)の山に反響する様子を詠んだ歌だ。
 蔵山和歌集は、1846年に歌人花野井有年によって編まれた私撰(しせん)集で、駿府や京都などの情景を詠んだ321首が収められている。静岡浅間神社と久能山東照宮に奉納されたという記録があるが、桜井さんによると、現在は紛失したとみられる。
 桜井さんは約30年前、当時の静岡浅間神社の宮司から原本のコピーを譲り受けて以来、解読を進めてきた。コピーと県立図書館にあった写本を照らし合わせ、郷土史家や書道家にも協力を仰いで1文字ずつ判読し、書き起こしたという。歌人の住所などから「現在の静岡市葵区の本通や新通、安西に拠点を置く文化サロンがあったようだ」と桜井さんはみる。
 出版について、静岡県立大の高木桂蔵名誉教授は「この時代を知る上で大変有益な資料だ」と強調する。江戸時代末期の駿府の記録はほとんど残っておらず、研究も進んでいないため、当時の文化水準をうかがい知ることができるという。
 桜井さんは「私も短歌を詠むため、先輩たちがどんな活動をしていたのか知りたかった」と解読に取り組んだきっかけを語り、「“幻の歌集”を多くの人に手に取ってもらいたい」と期待している。

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