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古里・鹿児島描いた広重の浮世絵寄贈 沼津の住職

(2017/12/20 07:45)
松下宗柏さんが寄贈した歌川広重の作品「薩摩 坊ノ浦双剣石」(坊津歴史資料センター輝津館提供)
松下宗柏さんが寄贈した歌川広重の作品「薩摩 坊ノ浦双剣石」(坊津歴史資料センター輝津館提供)

 沼津市の長興寺住職松下宗柏さん(69)がこのほど、父親の故郷である鹿児島県南さつま市坊津を描いた初代歌川広重の浮世絵を、坊津の歴史資料センター輝津館に寄贈した。広重の代表作「東海道五拾三次之内」をきっかけに浮世絵の魅力を知ったという松下さん。「過疎化が進む古里にエールを送りたい」と作品を探し、長年の思いを実らせた。
 寄贈したのは、晩年の広重が全国の名勝を描いた「六十余州名所図会」の中の「薩摩 坊ノ浦双剣石」と「大隅 さくらしま」の2点。鮮やかな青が引き立つ多色刷りの木版画だ。国名勝に指定されている「双剣石」は大胆な構図が特徴で「船に乗る人が石を見上げる姿などを加えた点も広重らしい」(輝津館職員の橋口亘さん)という。
 鹿児島市生まれの松下さんは、20代で臨済宗中興の祖として知られる白隠禅師ゆかりの龍沢寺(三島市)に入門。参禅修行を経て、禅師を慕う修行僧が宿坊とした長興寺の住職となった。
 25年前に富士山と沼津市の浮島沼が描かれた東海道五拾三次之内の「原 朝之富士」など地元の情景を鮮やかに表現した浮世絵に魅せられ、知人の郷土史家を通じて坊津を描いた作品の存在を知った。
 2007年に2代広重の「坊津」「桜島」を、09年には3代広重の2点を輝津館などに寄贈。初代の作品はなかなか見つからず、ことしに入って専門店から購入した。10年越しに寄贈がかない、「『念ずれば花開く』とはこのこと」と喜ぶ。
 幼少期に坊津で過ごした松下さんは「海辺の美しい景色は駿河湾を擁する伊豆半島にも重なる。坊津の観光振興に活用してほしい」と期待する。
 輝津館の橋口さんは「これまで所蔵していない貴重な作品。松下さんの思いも加わり、とてもありがたい」と話した。18年に作品の公開を検討している。

 <メモ>歌川広重(初代) 江戸時代末期の浮世絵師。本名は安藤重右衛門。「東海道五拾三次之内」や「名所江戸百景」など風景作品を得意とした。19世紀のフランスを中心に起きたジャポニスムの潮流の中、作品はゴッホやモネなどの画家に影響を与えた。2代目、3代目は初代の門人。

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