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「檸檬忌」16年ぶり復活 伊豆・湯ケ島、梶井基次郎再評価

(2016/7/6 08:55)
旧湯川屋近隣の梶井基次郎文学碑の横に立つ鈴木基文さん=伊豆市
旧湯川屋近隣の梶井基次郎文学碑の横に立つ鈴木基文さん=伊豆市
復刊した「梶井基次郎と湯ヶ島」
復刊した「梶井基次郎と湯ヶ島」

 小説「檸檬(れもん)」で知られ、1926~28年に現在の伊豆市湯ケ島地区で執筆活動を行った作家梶井基次郎(01~32年)の足跡を伝える取り組みが相次いでいる。19日には同地区で、梶井をしのぶ「檸檬忌」が16年ぶりに復活する。
 檸檬忌は71年、梶井が滞在した旅館「湯川屋」(2004年廃業)前の高台に梶井基次郎文学碑が建ったのを機に、主人の安藤公夫さん(故人)が始めた。梶井が「檸檬」を発表した同人誌「青空」の関係者や、愛好家、学術関係者ら50~60人が毎年5月に集まり、梶井文学について語り合った。
 00年を最後に途絶えていたが、地元住民らの間に機運が高まり、湯川屋関係者を含む実行委員会が主体となって復活が決まった。メンバーの一人で旅館「船原館」館主の鈴木基文さん(62)は「梶井を始め、当時の文学者たちが湯ケ島に引かれた理由を探りたい」と話す。
 実行委結成の発端となったのが、安藤さんが78年に自費出版した「梶井基次郎と湯ケ島」の復刊作業だ。昨年9月に急逝した井上靖文学館(長泉町)の松本亮三元館長が2年前に企画。同館が遺志を継いで鈴木さんらと連携し、改訂編集した。6月中旬に発刊し、好評を博している。
 梶井を間近で見た安藤さんの手記、湯ケ島地区で執筆した短編6作品のほか、新たに当時の同地区の写真12点を収録した。若い世代が梶井の作品の世界に興味を持ちやすいように、小説は全て新仮名遣いに直し、表紙を一新した。
 担当した徳山加陽学芸員(30)は「梶井は井上靖や川端康成の陰に隠れがち。檸檬忌復活や、本の復刊が湯ケ島地区との関わりを再認識するきっかけになってほしい」と願っている。

 ■文学散歩や講演開催 19日
 「檸檬忌」は19日午後1時、旧湯ケ島小で開始。勝呂奏桜美林大教授が「『梶井基次郎と湯ケ島』復刊の意義」と題して講演する。その後、梶井の足跡をたどる文学散歩として、川端康成の定宿だった湯本館や旧湯川屋、梶井基次郎文学碑などを訪ねる。
 参加費2千円。事前申し込みが必要で定員は先着30人。問い合わせは井上靖文学館<電055(986)1771>へ。

 <メモ>梶井基次郎 1901年大阪市生まれ。25年の「檸檬」を含め発表したのは約20作。生きることの苦悩や不安を描いた作風で、時代を超えて読み継がれている。湯ケ島地区には結核療養のため26年12月から28年5月まで滞在した。川端康成の「伊豆の踊子」の校正を手伝ったほか「桜の樹の下には」「蒼穹(そうきゅう)」などを執筆した。32年、大阪市で死去。

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