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2018年9月8日【大自在】

(2018/9/8 07:26)

 西南戦争後の暗い世相に覆われた1884(明治17)年9月。県東部を襲った猛台風は、韮山の師範学校に在学していた鷹根村青野(現沼津市青野)の名主の一人息子の進路を変えた。たわわに稲が実った水田は壊滅。極端なデフレとの二重苦は村を飢餓状態に追いやった
 ▼村人の惨状を見かね、学を捨て帰農したのがスルガ銀行創始者の岡野喜太郎だった。翌年は豊作に恵まれた。だが、喜太郎は「天災はいつまた降りかかるかも分からない」と、まさかのために「村ぐるみ貯蓄」を呼びかける
 ▼喜太郎が設立した貯蓄組合は95年、銀行に。営業所は喜太郎の自宅の茶部屋。そんな「日本最小」とされた銀行は、太平洋戦争など荒波をくぐり抜け、大きく発展したかに見えていたが…
 ▼シェアハウス「かぼちゃの馬車」問題に端を発し、スルガ銀が自ら招いた猛台風は、進取の精神で築いた高収益モデルで業績をたわわに実らせ、少し前まで「地銀の優等生」と評された信用を吹き飛ばしてしまった
 ▼同行の不正融資問題で第三者委員会はきのう、「営業職員が偽装に積極的に関与してきた」などとする調査報告書をまとめた。「給料泥棒と言われた」「毎日2~3時間立たされ詰められる」。報告書にある従業員の言葉は、最高益更新に固執した同行の雰囲気を物語っている
 ▼喜太郎のひ孫、岡野光喜会長ら役員5人は引責辞任。「新しいスルガ銀行の姿を見せたい」。新社長の有国三知男氏は会見でこう話した。企業風土の改革には、猛台風の惨状を立て直した創業の精神が求められる。

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