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2018年9月5日【大自在】

(2018/9/5 07:30)

 江戸初期の俵屋宗達が描いた「風神雷神図屏風[びょうぶ]」(国宝)の風神は、背に回した細長い袋の両端を両手で握っている。緩めて下界に風を吹かすというのだろう。突風が吹くのは、手元が狂うのか、意図あってのことか
 ▼この発言、風に例えれば突風である。中西宏明経団連会長が定例記者会見で、新卒採用・就職活動の日程に関する経団連指針の2021年卒からの廃止に言及した。学生や大学、中小企業が戸惑うのはもっともだ。個人的意見と断ったが、トップの発言は重い
 ▼新ルールになった16年卒の就活では、抜け駆けや、就活を終われと強要する「オワハラ」が問題になった。大手の採用意欲はその後も強く、あおりで地方中小は応募者減や内定辞退に頭を抱えている。ルール廃止を議論するなら弊害も含め大所高所からの視点が欠かせない
 ▼屏風の風神は力士のような体格だが、古代中国で風を起こす神は竜の姿と考えられた。「風」の中に竜や蛇を表す「虫」があるのはそのためという
 ▼現代では、風神や竜が想像されたよりはるか上空に気象衛星があり、雲の画像や海面温度などのデータを送ってくる。風の強さは等圧線の間隔で表される。天気図に現れる不気味な同心円が台風である
 ▼最大風速が毎秒44メートル以上54メートル未満の「非常に強い台風」が25年ぶりに日本に上陸し、被害や影響が出た。話を就活ルールに戻せば、会長発言は台風発生に例えられようか。進路が気になる。時代の風を感じることは大事だが、吹かせる風は強すぎないほうがいい。風格ある議論を望みたい。

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