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2018年9月2日【大自在】

(2018/9/2 07:50)

 異国情緒を醸す建築様式の「コロニアル」は「植民地の」を意味する。ベトナム・ホーチミンはフランス領時代の建物が観光客に人気だ。華やかな意匠は一方で、植民地時代からベトナム戦争に至る塗炭の歴史を伝える
 ▼旧南ベトナムの首都サイゴンは統一ベトナムの誕生で、建国の父、ホー・チ・ミンの名に改められた。フランス領インドシナ当時、ホーが10代半ばのころ、1人のベトナム人が日本の土を踏んだ。独立運動の志士で、民族主義者のファン・ボイ・チャウ
 ▼母国解放の人材育成に、ベトナム人青年の日本留学「東遊[ドンズー]運動」を興した。運動を物心両面で支えたのが、袋井市出身の医師で篤志家の浅羽佐喜太郎だ。2人を取り上げた企画展が、市郷土資料館で開かれている
 ▼1907年の日仏協約に伴い、ファンらは09年に国外退去させられ、浅羽も翌年病死。8年後の再来日で恩人の死を知ると18年、袋井市の菩提寺に祈念碑を建てた。建立100年の今年は、両国の国交樹立45周年でもある
 ▼市場経済と対外開放を軸にドイモイ(刷新)政策を掲げ、この30年間で急成長を遂げたベトナム。植民地時代の建物は「インスタ映え」の観光資源となり、「カワイイ」雑貨天国に女性人気は高く、年間80万人近い日本人観光客が訪れる
 ▼「古今たぐいない義侠[ぎきょう]の人」。住民の協力を得て建てた碑には、離日前に初めて会えた恩人の追慕を漢文で刻み、弔問の再来日となった喪失感がにじむ。ホー・チ・ミン五十回忌のきょう、両国親交の黎明[れいめい]物語に思いをはせてみてはいかがか。

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