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2018年6月10日【大自在】

(2018/6/10 07:25)

 電話の取り次ぎは30秒。エレベーター1分。役所の窓口15分。病院の診察45分、メールの返信1時間-。多くの人がイライラを感じずにいられる「待ち時間」の限界という。シチズン時計が全国の20~50代400人に調査した
 ▼現代は「待つことができない社会」。そう喝破したのは県内にも何度も講演に訪れている哲学者の鷲田清一京都市立芸術大学長。10年以上前の著書「『待つ』ということ」(角川選書)で「前のめり」社会の落とし穴を考察していた
 ▼プロジェクト(計画)、プロフィット(利益)、プロモーション(販売促進)。事業活動で重視される英語には「前に」を意味する接頭辞「プロ」が付く単語が多い。一直線に目標に向かって成果を上げるよう求められる
 ▼待てない社会での未来は、現在から想像が及ぶ範囲での未来にすぎない。将来の可能性をむしろ閉ざしていないか。未知の出来事の兆候を捉え、適切に対応する力を失うことにならないか-
 ▼著作では巌流島の決闘や文豪太宰治の「熱海事件」も題材に哲学者の思索が続くが、確かに世の中、最短距離で答えが出ることばかりではない。待った揚げ句、期待通りの成果が得られないことも多い。短兵急に結果だけ求めれば、イライラと落胆が募る毎日を送ることにもなりかねない
 ▼「時間を大切に」と言われて育った人は多いだろう。予定を埋め、少しの隙間もスマホとにらめっこして過ごす日々が「大切に」していることになっているだろうか。きょうは「時の記念日」。ちょっと立ち止まってみるには良い機会だ。

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