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2018年6月7日【大自在】

(2018/6/7 07:46)

 2016年7月、相模原市の知的障害者施設で入所者19人が殺害され、職員を含む26人が重軽傷を負った事件。2年を経て、殺人などの罪に問われた被告の手記を載せた書籍の出版計画があるという。本紙記者の取材で分かった動きに、入所者の家族は「共感する人が少なからずいる」と案じる
 ▼事件では障害者の存在を否定する被告のゆがんだ考えが明らかになった。出版社側は、被告の“思想”をそのまま掲載するのではなく、識者の意見や被害者家族の声なども盛り込むことを検討していると説明する
 ▼折しも、旧優生保護法下で容認された、障害者らへの本人同意がない不妊手術に関し、国の責任を問う声が広がるさなか。障害者差別などに関する条文を削除して旧法が母体保護法に改められて20年余になるが、国の責任問題はいまだ決着していない
 ▼同じ根っこの極論が手記という形で公になれば―。「共感」を恐れる家族の思いは切実だろう
 ▼ちょうど3年前にも似たことがあった。1997年に神戸市で起きた連続児童殺傷事件の加害男性が「元少年A」の筆名で手記を執筆。被害者遺族は出版中止、回収を求めたが、かなわなかった。「社会は、彼のような犯罪を起こさないため、起こさせないため、何があったのか、見つめ考える必要がある」。それが出版社の言い分だった
 ▼再発を防ぐ方策や社会の在り方を考えていく上で動機の解明は欠かせない。だが「手記」という形が適切なのか。そこで語られる「真実」が事実の客観的な説明にはならないことを忘れてはならない。

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