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2018年2月13日【大自在】

(2018/2/13 07:31)

 ▼昨年、設立40年を迎えた県ボランティア協会の主要事業の一つに「ケアする人のケアを学ぶ会」がある。介護、医療、福祉の現場で課題に向き合ってきた専門家や当事者を講師に招いて年3回。受講者には涙を流して聴き入る人が少なくない
 ▼施設のスタッフもいれば、自宅介護の家族もいる。一人一人が抱える葛藤、悩み、不安は複雑で重い-。先日、静岡市内で開かれた「学ぶ会」に参加する機会があった。講師は児童精神科医の夏苅郁子[なつかりいくこ]さん(焼津市)。その人生は壮絶だった
 ▼心を病んだ母親に育てられた子ども時代。生活はすさみ両親は離婚した。医大に進むが、親を憎み自暴自棄に。アルコールや睡眠薬依存に陥る。気が付けば自殺未遂。自分自身が精神科の患者になっていた
 ▼どん底から立ち直る一番の助けとなったのは薬でも医者でもなく普通の人々だったという。「まっとうに接し、話を聞いてくれた人がいたからこそ」。夏苅さんは自身の体験を振り返りながら、精神的、肉体的に追い詰められる前に「他人の力」を借りてほしいと説いた
 ▼障害があることも病になるのも、その人や家族のせいではない。誰かを支えようと一生懸命に努めても先が見えないとき、焦らずに「待つ力」が流れを変えることもある。それが最大の支援になり得るとも語った
 ▼会場では、主催した県ボラ協の小野田全宏[まさひろ]理事長(70)が受講者とともにうなずく姿が印象的だった。「困難に身を置く人の声にどう応えるか」。重い課題に取り組む当人にとってもケアされる場となったのかもしれない。

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