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2018年2月4日【大自在】

(2018/2/4 07:52)

 ▼不良な子孫の出産を防ぎ、もって文化国家建設に寄与する-。戦後の新憲法で「国権の最高機関」に位置付けられた国会の記念すべき第1回。初の女性議員の1人が、同僚の女医出身議員らと提出した法案の一節だ
 ▼母体保護を重視し、中絶合法化に道を開こうとした法案は、盛り込まれたもう一つの側面、優生思想を支持する議員らの賛同も得る。修正を経て、超党派の議員立法として翌1948年に成立した。旧優生保護法である
 ▼ナチス・ドイツの断種法に倣った戦中の国民優生法が前身。そう説明されることも多いが、不妊手術の対象を遺伝疾患以外にも広げ、事実上、死文化していた強制手術の規定の息を吹き返させた。優生思想は前身の法よりも色濃い
 ▼「産めよ増やせよ」の多産奨励から、過剰が意識された人口急増期へ。時代背景はあったにせよ、基本的人権の尊重を掲げる新憲法の下、福祉国家を目指していた民主主義政府の手で断種政策は強化される。積極的に「不良な人間」の烙印[らくいん]を押し、新たな命を宿す可能性を奪っていく
 ▼96年まで半世紀続いた法により、未成年を含む約2万5千人の障害者らが不妊手術を施された。うち約1万6500人、県内では500人以上が、本人の同意がない強制だったとされる。その中の1人、宮城県の女性が国に損害賠償を求めて裁判を起こした
 ▼「重大な人権侵害なのに、救済措置を怠った」。提訴の理由に潜むのは極めてまっとうな怒り、嘆きと言えよう。その矛先は「被害」救済に冷淡な政府だけに向けられたものだろうか。

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