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2017年11月2日【大自在】

(2017/11/2 07:20)

 ▼どこにでもある単身者用アパートの一室で見つかった9人もの切断遺体。神奈川県座間市の事件で警視庁が死体遺棄容疑で逮捕した男(27)の供述によると、9人とはツイッターを通じて知り合い、自殺を手伝うと伝えて連れ込み、殺害したという
 ▼容疑者が殺害を認めたとされる女性はインターネット上で自殺をほのめかしていたとみられる。事件前、容疑者は父親に「生きていても意味がない」と話していたとも。犯行との関連の解明はこれからだが、尊い命があまりにも軽んじられたように思えてならない
 ▼踏みとどまるべき人としての一線はどこへ消えてしまったのか-。以前、本紙のインタビュー連載で精神科医の野田文隆さん(大正大名誉教授)が、現代人の心を巡る問題について「今は超自我なき時代、何でもありになった」と語っていたことを思い出す
 ▼超自我とは精神分析学の用語で「ならぬものはならぬ」と自己を制御する精神機能を指す。昔は親や世の中からすり込まれたのに、その関係が次第に変化。親と子、権力と国民の間の確執が減るにつれて形成されにくくなっているという
 ▼だからといって野田さんは、道徳教育の強化など政治によって超自我の復活を図ることには否定的だった。「一人一人の心の中の問題なのだから」。それは社会全体で考えるべきとの指摘ではなかったか
 ▼今回の事件を単に猟奇的と形容して済ますわけにはいかない。ネットや家族関係に潜む病理を深く掘り下げる必要があろう。昨年の相模原殺傷事件に続く重い宿題が突きつけられた。

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