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2017年10月2日【大自在】

(2017/10/2 07:48)

 ▼戦後、地方の若者が夢とあこがれを抱いて向かったのが東京だった。全国津々浦々から集団就職で上京し、高度成長の波に乗った。都会で生活の基盤を築いた若者の多くは経済成長から遅れたように映る古里に戻ることはなかった
 ▼貧困からのし上がり「今太閤」と呼ばれた田中角栄が1972年7月、首相の座に就いて取り組んだのが経済成長で広がる大都市と地方の格差問題だった。全国に新幹線や高速自動車道を建設し、格差解消を目指す「日本列島改造論」をぶち上げた
 ▼ブルドーザーで実現しようとしたその構想は高度成長の終焉[しゅうえん]とともについえる。急速に進む少子高齢化で、日本が人口減社会に足を踏み入れた今も若者たちは地方から大挙して東京を目指している
 ▼「いつもどこか背伸びしながらあこがれの対象に近づいて、そのために傷ついたりしながらも、そこに住む感じ」。山梨県から上京し、大学に通っていた作家林真理子さんが東京について語った言葉が以前本紙に載った。東京の魅力は都会の空気そのものかもしれない
 ▼若者の東京一極集中を是正するため、文部科学省が東京23区内の私立大、同短大の定員増を原則認めない新基準を打ち出した。地方の私立大が定員割れに苦しむ中で23区内の私立大生などは47万人を超え、全国の約18%に及ぶという
 ▼だからといって学生数を抑制しようとはいかにも小手先の手法ではないか。東京は若者にとって学びの場というだけではない。人生のイロハを体験する場でもある。若者の思いをくめば、やぼな策というしかない。

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