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2017年10月1日【大自在】

(2017/10/1 07:20)

 ▼東日本大震災の津波によって海洋に流出した災害がれきの総量は約500万トンともいわれる。一部は沈まずに今でも北米沿岸への漂着が続く。打ち上げられたブイや漁船を研究チームが調べたところ、一緒に数千キロを旅した“小さな乗客”がいたことが明らかになった
 ▼貝や甲殻類など日本由来の生き物で約290種。現地では確認されていないものも多く、生態系への影響が懸念されていると先日、報じられた。腐食・分解しないプラスチックなどで出来た人工物が、格好のいかだ代わりになったらしい
 ▼これまでも貨物船のバラスト水や積み荷に紛れ込んで海を渡った生き物はいた。今回は津波だが、流出は台風などでも起こり得る。地球温暖化に伴って台風が強大化すれば、こうした拡散はさらに頻繁になることも予想されている
 ▼もちろん、生き物が密航を企てるわけはない。彼らはただ、種存続の本能に従うだけ。「環境リスクは肥大化する人間活動が招いているのです」。ふじのくに地球環境史ミュージアム(静岡市)の山田和芳教授によれば、気候変動も生物多様性の劣化も、かつてない速さで進行中だ
 ▼人の営みが地球にとって無視できない時代を迎えて久しい。国際学会は地質年代に新たな区分「人類世(人新世)」を検討しているそうだ。それは地球環境の悪化を食い止めるため、人間に倫理を問う概念でもあるという
 ▼人類にはコンクリートやプラスチックは作れても、地球に代えて乗り移れるようないかだはない。災厄に流される前に自然との共存を急ぐべきだろう。

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