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2017年5月20日【大自在】

(2017/5/20 07:40)

 ▼「次郎物語」を書いた作家下村湖人とも交友のあった故鈴木健次郎は、社会教育の礎を築いた人物として名を残す。戦前は青年団の中央組織で要職を務め、戦後は生涯学習拠点となる公民館の普及に尽くした
 ▼「汝[なんじ]、何のためにそこにありや」。還暦を前に請われて母校秋田高の校長となった鈴木が、人生の指針とするよう生徒に説いた言葉という。いつ、どこで、誰に、この問いを発せられても明確に答えられるよう、目的意識と自覚を持って日々を過ごしてほしい、と訴えた
 ▼高校時代、鈴木校長から直接薫陶を受けたこの人も、「好きな言葉」に挙げている。きのう衆院の委員会で可決された「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案の提出責任者、金田勝年法相である
 ▼監視され、内心の自由に踏み込まれる息苦しい世の中を招くのではないか。そんな不安も広がる法案の審議で、官僚の助けを借りても要領の得ない答弁を繰り返す。つっけんどんな態度からは理解してもらおうという意欲すらあまり感じられない
 ▼野党4党が提出した法相の不信任決議案は否決された。ただ、勝算のない野党の戦術をパフォーマンスに感じた人でさえ、「真摯[しんし]に審議に臨み、丁寧に答弁している」と法相をかばった与党の発言には鼻白んだのではないか
 ▼テロ対策が重要との認識は国民も広く共有している。分かりやすい言葉で法案を説明することに何か不都合があるのか。与党の意向通り法案が衆院を通過しても、参院の審議が待つ。法相が「何のためにそこにありや」と問われる日は続く。

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