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伊豆の食紀行

伊豆の魅力といえばやっぱり味覚!
栽培や漁の現場、こだわりの加工法、そして買える・食べられる場所など、
今が旬の伊豆の幸を、様々な角度からご紹介します。

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マダイ
マダイ
旬の時期旬の時期:養殖マダイは通年購入できる。4、5月は産卵の時期で貴重な卵や白子を味わえるかも。
タイといえば近畿や九州地方のイメージが強い暖海性の魚だが、養殖北限地の沼津で育てられたマダイを一度ご賞味あれ。駿河湾の速い潮流、低い水温に引き締められ、モチモチッと適度に弾力のある身は刺身に最適。淡白で軽い味わいにほんのりとした甘み。透明感のある白身が高級感を醸す。新たなマダイ特産地発見だ。
内浦湾は養殖の適地
 駿河湾に面した伊豆半島の西側の付け根、その一番くびれたところが沼津市の内浦湾だ。西端の長井崎の高台から眺めると、湾内には四角い枠をいくつも並べたような養殖場が、不規則に散らばっている。
 「湾が深く、北西に向いているから養殖場に適しているんですよね」、内浦漁業協同組合総務課長の杉山正憲さんが言う。水深が深く、海底付近の潮の流れが速いため、食べ残したエサやフンの堆積による自家汚染が起きにくく、赤潮の発生も過去一度もないそうだ。さらに北西以外を山に囲まれた地形が、南からの季節風や台風の強風を防ぐのに好都合なのだという。
 内浦湾では、昭和30年代よりこれまでアジ、ブリ、マダイ、ヒラメ、ハマチなどの魚が生産されてきた。中でもマダイは病気が少なく、環境の変化に強い魚だそうで、現在、約40軒ある養殖業者の多くがマダイを手がけ、その生産量は15年度で1,848t、養殖全体の5割以上を占めているということだ。
 「養殖を天然よりランク下にみる傾向がありますが、養殖ものはかえって安全性が高いと言われています」と、杉山さん。環境を管理することで病気や寄生虫の心配がなく、内容や産地がわかるエサだけを食べて育ったマダイは、食の安全を重視する消費者にとって天然もの以上に安心な食品といえそうだ。
 
内浦湾
穏やかで濃い青色の水面を、緑の山々が囲む内浦湾。天気がよければ裾野を広げた富士山も。

養殖場
養殖ならば1年を通して安定供給が可能。数量、形、大きさなどの希望にも応えられる。
加工品
「駿河鯛味噌漬け」と「鯛の燻製 鯛将」は、内浦漁協直売所で購入できる。

味噌漬け
肉厚の白身のジューシーさと焼けた味噌の香ばしさがマッチする味噌漬け。

  “沼津のマダイ”をもっとアピール
 内浦湾で育ったマダイは、活魚取扱店を経由して、主に東京方面の飲食店などへ生きたまま届けられる。実に、出荷量の8割が活魚なのだという。
杉山さんによると、太った魚は水中の酸素を多く必要とするため小さな水槽での移動に向かず、活魚での出荷がむずかしい。その点、内浦のマダイは、低い水温でじっくり育つため、身が締まって肥満が少ない。消費地が近いという利点に加え、質的にも活魚での出荷に適しているのだ。
 こうした質のよさをさらにアピールするために、漁協でも様々な工夫を始めている。昨年は、消費者による産地見学ツアーを実施し、好評を得た。今後は、飲食業者や鮮魚販売業者向けのツアーも行い、流通につなげていきたい考えだ。
 また、加工品の開発にも着手。マダイは、頭が大きく骨が太いので使える部分が2、3割と率が悪い。それが価格に反映してしまうのが目下の悩みだが、これを克服して、できるだけ多くの人に気軽に食べてもらおうと、試行錯誤を繰り返す。今は「駿河鯛味噌漬け」と「鯛の燻製 鯛将(たいしょう)」を販売中。イベントでの試験販売が好評だった、刺身をヅケにして軽く炙った押しずしも、商品化が待ち遠しい。
 高級なイメージのマダイが、身近で親しみのある魚になるのは、いただく側としては大歓迎である。
お店紹介

[買う]内浦漁業協同組合直売所(沼津市内浦三津 Tel.055-943-2316)
マダイをはじめ、アジやハマチなどの活魚や各種ひものなどを販売している。マダイは1年を通して1s程度のものが1尾2000円。8:30〜16:00。年中無休。

 
[買う]奥するが湾日曜市(伊豆三の浦観光案内所内「日曜市事務局」 Tel.055-941-3448)
毎週日曜日の8:30〜12:00、内浦漁港にて地元の魚、野菜、果物などを販売する市が催され、観光客にも人気。

 
聞き込みメモ

春のタイは「桜鯛」
4月頃のマダイを「桜鯛」と呼ぶ。名前のイメージからこの時期、さぞかしきれいなピンクになるのかと思いきや、産卵期を迎えたマダイの色は黒みがかってくるのだそうだ。ではなぜ桜鯛と呼ぶのか。一説によると、大漁となったときのマダイの群れている様子を、満開のサクラにたとえたのだという。沼津でも、以前は天然マダイがたくさんとれたそうだ。

いけすのマダイ

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