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| 内浦湾は養殖の適地 駿河湾に面した伊豆半島の西側の付け根、その一番くびれたところが沼津市の内浦湾だ。西端の長井崎の高台から眺めると、湾内には四角い枠をいくつも並べたような養殖場が、不規則に散らばっている。 「湾が深く、北西に向いているから養殖場に適しているんですよね」、内浦漁業協同組合総務課長の杉山正憲さんが言う。水深が深く、海底付近の潮の流れが速いため、食べ残したエサやフンの堆積による自家汚染が起きにくく、赤潮の発生も過去一度もないそうだ。さらに北西以外を山に囲まれた地形が、南からの季節風や台風の強風を防ぐのに好都合なのだという。 内浦湾では、昭和30年代よりこれまでアジ、ブリ、マダイ、ヒラメ、ハマチなどの魚が生産されてきた。中でもマダイは病気が少なく、環境の変化に強い魚だそうで、現在、約40軒ある養殖業者の多くがマダイを手がけ、その生産量は15年度で1,848t、養殖全体の5割以上を占めているということだ。 「養殖を天然よりランク下にみる傾向がありますが、養殖ものはかえって安全性が高いと言われています」と、杉山さん。環境を管理することで病気や寄生虫の心配がなく、内容や産地がわかるエサだけを食べて育ったマダイは、食の安全を重視する消費者にとって天然もの以上に安心な食品といえそうだ。 |
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“沼津のマダイ”をもっとアピール 内浦湾で育ったマダイは、活魚取扱店を経由して、主に東京方面の飲食店などへ生きたまま届けられる。実に、出荷量の8割が活魚なのだという。 杉山さんによると、太った魚は水中の酸素を多く必要とするため小さな水槽での移動に向かず、活魚での出荷がむずかしい。その点、内浦のマダイは、低い水温でじっくり育つため、身が締まって肥満が少ない。消費地が近いという利点に加え、質的にも活魚での出荷に適しているのだ。 こうした質のよさをさらにアピールするために、漁協でも様々な工夫を始めている。昨年は、消費者による産地見学ツアーを実施し、好評を得た。今後は、飲食業者や鮮魚販売業者向けのツアーも行い、流通につなげていきたい考えだ。 また、加工品の開発にも着手。マダイは、頭が大きく骨が太いので使える部分が2、3割と率が悪い。それが価格に反映してしまうのが目下の悩みだが、これを克服して、できるだけ多くの人に気軽に食べてもらおうと、試行錯誤を繰り返す。今は「駿河鯛味噌漬け」と「鯛の燻製 鯛将(たいしょう)」を販売中。イベントでの試験販売が好評だった、刺身をヅケにして軽く炙った押しずしも、商品化が待ち遠しい。 高級なイメージのマダイが、身近で親しみのある魚になるのは、いただく側としては大歓迎である。 |
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