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伊豆の食紀行

伊豆の魅力といえばやっぱり味覚!
栽培や漁の現場、こだわりの加工法、そして買える・食べられる場所など、
今が旬の伊豆の幸を、様々な角度からご紹介します。

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お茶
ぬまづ茶
旬の時期新茶となる一番茶は、4月20日過ぎから5月20日頃まで収穫。
ゆっくりと入れた「ぬまづ茶」の新茶は、とろみがあるかのように濃くて、若々しい緑色をしている。湯呑みを持 ち上げると、青さと香ばしさがバランスよく混じりあった香りが湯気にのって上ってきた。口に含むとはじめに苦み、その後、口の中に旨みがじんわり広がって、後味は爽やか。この重層的な味わいを体験して、緑茶に無頓着な日常を少し反省した。
沼津にも茶どころがあった
 沼津市から伊豆をめざすと、いつも背中にまわってしまう愛鷹(あしたか)山だが、この時期の山麓には、ちょっと注目。国道1号線を北上すれば、どの辺りからでもだいたい茶畑に行き当り、南麓一帯には約550haの緑のジュウタンが広がっている。
 丸く刈り込まれたお茶の木から、黄緑の薄く柔らかな新芽がツンツンと伸び、初夏の明るい日差しを透かしている。緩やかな斜面に幾とおりにも続く緑色の波、その先には駿河湾が青く光る。健康志向で注目される緑茶だが、この茶畑の光景の、心の健康効果も見逃せない。
 そんな茶畑の一角に「江原素六記念公園」を見つけた。山下さん曰く、江原素六は、愛鷹山麓の御料地払い下げに尽力し、沼津の茶産業の礎を築いた人だそうで、茶畑を背にした大きな銅像が顕彰のほどを物語る。
 毎年、3月下旬には銅像前で献茶式が行われ、そこで振る舞われる沼津茶手揉み保存会による手揉み新茶は、若く柔らかな味だ。歴史、産業、文化、多方面の生きた教材が、沼津っ子の心にぬまづ茶への関心を育んでいるようだ。

 
茶畑
JAでは、廃業農家の茶畑を他の農家に貸し出すしくみを整え、栽培面積を減らさない努力をしている

江原素六像
江原素六は、沼津兵学校、沼津中学校(現・沼津東高)、駿東女学校(現・沼津西校)等を創設した教育者としても名高い
工場長
機械から茶葉を取り出し、蒸し具合を確かめる浅田さん。厚みが少し薄い沼津の茶葉にあった中蒸しで、旨みを引き出す

工場
工場には加熱された茶葉の香りが立ち込め、仕上げの作業場では機械まで緑に色づいている。工場長の忙しさをよそに気分はリフレッシュ

  素材を生かして逸品づくり
 「摘み取りが3日遅れれば、お茶の葉はかたくなってしまう。連休の1週間、農家は総力戦です」と、JAなんすん製茶工場の浅田征志工場長が言う。そして、フル稼働は工場も同じ。なんと、1年間に加工する生葉約200トンのうち、半量近い約80トンがこの1週間に持ち込まれるそうだ。
 その生葉を蒸して、揉んで、乾燥させて荒茶をつくるのは、ぐるりと立ち並ぶ大型機械。しかし、機械化されても、蒸した茶葉の色や水分量等の微妙な見極めは、浅田さんの目や手の感覚にかかっている。「沼津のお茶は、西部に比べ若干渋みがある。この渋みをうまく生かすように工夫しています」。全工程4時間のうち、浅田さんが茶葉を手に取る数分で、お茶の味が決まるのだ。
 工場では、荒茶の形を整える仕上げ作業も行い、JAのブランド「ぬまづ茶」として製品化、本支店等を通じて販売する。国道414号沿い、JA本店横の直営販売所「緑茶館ぬまづ」を覗くと、新茶の発売を待ちかねたお客さんたちが次々に訪れ、自宅用といっしょにいくつもの地方発送を頼んでいた。
 初夏の愛鷹の清々しさを伝える「ぬまづ茶」は、沼津の人たちの自慢の逸品なのだ。新茶の一服に、港町とは違う、もうひとつの沼津の顔がみえてきた。
お店紹介

[買う]緑茶館ぬまづ (沼津市下香貫 Tel.055-932-7879)
通常価格525円〜2,100円の「ぬまづ茶」が揃う。4月上旬から5月末までは特別セールにつき、新茶10%OFF。「ぬまっちゃボトル缶(400g)」は、すっきりした味わいで茶農家にも人気があるそうだ。1ケース24本入で 2,415円(すべて税込)。 ※日・祭日休、月〜土10:00〜16:00(4月〜5月は17:00まで営業します)※その他、JAなんすん本・支店、各営農経済センターでも販売(ボトル缶はケース販売のみ)。ネットショッピングでも購入可能。
緑茶館ぬまづ

[見る・楽しむ]沼津市明治史料館 (沼津市西熊堂)
江原素六の屋敷跡に建てられた史料館。素六の業績の紹介や旧邸の一部を展示した「江原素六コーナー」がある。入館料は大人200円、小・中学生100円(市内は無料)。月曜、祝日の翌日、毎月最終平日、年末年始休。 9:00〜16:30。
 
聞き込みメモ

新茶はぜいたくに
 JAのイベントでお茶を購入した人が、試飲したものと違う商品だと文句を言いに来ることがあるそうだ。原因は入れ方。新茶は特に、たっぷりの葉、ぬるめの湯、時間をかけてが大原則。もったいないからといってお茶っ 葉をケチると、かえって損することになるから気をつけて。
粉末茶で「あしたか割り」
 沼津市茶業振興協議会で開発された粉末茶は、茶殻を嫌う人や茶葉の栄養を残さず摂りたい人などに人気があり、市内7つの製茶工場で製造されている。水にもサッと溶けるから使い方もいろいろ。特に、「あしたか割り」と名づけられた焼酎の緑茶割りに使用され、沼津市周辺の飲食店で好評だそうだ。もちろん、JAでも製造販売している(50g630円)。
ボトルと粉末茶

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