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伊豆の食紀行

伊豆の魅力といえばやっぱり味覚!
栽培や漁の現場、こだわりの加工法、そして買える・食べられる場所など、
今が旬の伊豆の幸を、様々な角度からご紹介します。

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わさび
わさび
旬の時期冬と夏は辛みが強い。花はそろそろ咲き始め、3月はじめには見頃となる。
刺身の横のおろしワサビしか見たこと、口にしたことがない人に、本当のワサビの姿を知ってほしい。艶やかに光る葉っぱ、シャキッとみずみずしい茎、鮮やかなライトグリーンの根。食べれば刺激的な辛さだが、採りたてのワサビには、独特の甘みと新鮮な野菜っぽさも加わる。葉も茎も根も花も、余すところなく食べられる。こんなワサビの顔は、産地でなければ見られない、味わえない。
ワサビが華麗に変身
 今年も天城観光協会の「天城わさびの花まつり」が行われる。期間中は、町内各宿泊施設でオリジナルのワサビ料理が楽しめる。多くの人には香辛料というイメージしかないワサビだが、日本一の産地、天城湯ヶ島町では、料理の脇役から町のPRの主役へと、ワサビのイメージアップに乗り出したのだ。
 「農家の皆さんがこんなにいいものを作ってくれるのだから、観光サイドでしっかりアピールしなくては」。先陣を切ったのは、湯ヶ島温泉「白壁荘」の女将、宇田倭玖子さん。6年程前から様々なワサビ料理の開発に取り組み、宿でワサビづくしメニュー「天城越え」を提供して4年目になる。
 ワサビの葉をペースト状にして生地に練り込んだ「ワサビパン」。ワサビの抗菌作用に発酵を妨げられ、ふっくら仕上げるのに悪戦苦闘した。ワサビの根は外側が辛く、中側だけならば野菜感覚で食べられることを発見し、スライスしてすしネタとして使った「勘四郎巻き」も、今では宿の名物だ。
 「料理を開発する過程で、ずいぶんワサビを科学した。味の特性、効用、見た目の美しさ。学んで理解して、そのまわり道あっての今の料理です」と、宇田さん。その研究熱心さが自他共に認める“ワサビPR隊長”の自信につながっている。
 
ワサビパン
「ワサビパン」には、ワサビ漬とクリームチーズを混ぜたペーストとワサビ葉を挟む。オードブルとして人気。

勘四郎巻き
「勘四郎巻き」は、トロなど脂っぽい刺身の合間につまむとさっぱり感がいい。天城にワサビをもたらした板垣勘四郎の名をいただいた。
ワサビの花
ここ数年、ワサビの花の需要が伸びている。料理の飾りに使われることが多いようだが、花は意外に辛いそうだ。

ワサビ田
安藤さんのワサビ田と浄蓮の滝。3月はじめには深い緑の葉がジュウタンのように広がり、その上に白い可憐な花が咲き揃う。
  地域の宝を育てあう
 天城湯ヶ島のワサビは、JA伊豆の国を通じて九州から北海道まで全国24市場へと出荷される。「甘みがある、日持ちがいい」と高い評価で、ほとんどが旅館や料亭などで使用される特上品として扱われる。
 天城湯ヶ島山葵(わさび)組合では、苗の退化による品質低下を防ぐため、組合員195軒のすべての苗を一括して実生でつくっている。各農家が交配などを研究しながらワサビを育成し、出来のよかった家は組合へ種を提供する。
 「天城のものならば、どの家のワサビも高品質。そして、1箱に収められたワサビ全部の品質が揃っていなければ、産地として信頼されないからね」。組合長の安藤敏男さんは、ブランドを守る厳しさを語る。年間出荷数約200万本のワサビの一本一本が天城ブランドを背負っていることを、組合員みんなが自覚しているからこそのブランドなのだ。
 昨年、安藤さんは全国農林水産祭で内閣総理大臣賞を受賞した。出品したワサビは収穫までに1年8ヶ月を要し、目が詰んでズシッと締まった200g級。辛みのある根の表面にしわが幾重にも刻まれた逸品だ。
 誇りとなるような産物を持つ地域、地域に育てられてゆるぎないブランドとなる産物。その相乗効果で地域のブランド力も確実に高まっていくはずだ。
お店紹介

[泊まる]湯ヶ島温泉 白壁荘(伊豆市湯ヶ島 Tel.0558-85-0100)
巨石風呂、巨木風呂が自慢の宿。ワサビづくしメニュー「天城越え」のプランは、1泊2食20,000円。「ワサビパン」「ワサビパスタ」「勘四郎巻き」に「ワサビ葉のてんぷら」、「ワサビムース」など。お造りには生ワサビ1本、食前酒にワサビ酒もつく。

[買う]丸岩わさびの店 浄蓮の滝店(伊豆市湯ヶ島 Tel.0558-85-0860)
天城湯ヶ島山葵組合組合長、安藤敏男さんの店。もちろん生ワサビ(500〜2,000円)の品揃えは充実。加工品は、金印ワサビ漬(樽入140g 800円)、根のスライスも入った茎の醤油漬(700円)、今なら花入りの茎の三杯酢漬(600円)など。毎月第1火曜休、9:00〜16:00。天城温泉会館売店(Tel.0558-85-0016)もある。
 
聞き込みメモ

生ワサビが手に入ったら
生ワサビは、茎を手でむしって頭からすりおろす。辛い外側と辛くない中側を練るようにしっかり混ぜると風味が出る。残ったらビニール袋やラップで包み、冷蔵庫へ。水につけてはダメ。暑い時期には1日で腐ってくる。
宇田さんお薦め「ワサビ酒」
すりおろした生ワサビをグラスに入れて、日本酒(冷酒)を注ぐ。ワサビの甘みが引き立って、クイクイッといける。しかも、飲みすぎても二日酔いしないというありがたさ。
安藤さんお薦め「ワサビ丼」
生ワサビをたっぷりすりおろし、砂糖少々、しょうゆをかけ、お好みで味付け。それにカツオ節をたっぷり混ぜて、温かいご飯にのせる。辛いけれど、ご飯がすすむ!
安藤さんお薦め「ワサビ丼

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