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伊豆の食紀行

伊豆の魅力といえばやっぱり味覚!
栽培や漁の現場、こだわりの加工法、そして買える・食べられる場所など、
今が旬の伊豆の幸を、様々な角度からご紹介します。

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猪鍋
猪鍋
旬の時期狩猟解禁の11月15日頃〜3月末頃。特に年明けから2月にかけて脂がのる。
別名「ぼたん鍋」。白い脂身に縁取られた真っ赤な肉が、花びらのように盛り付けられて華やかだ。天城の味付けは、濃いめで甘めの味噌だれが主流。天城特産のシイタケ、ハクサイ、長ネギ、ゴボウ、コンニャクなどといっしょにイノシシ肉をグツグツ煮込む。そのまま一杯。溶き卵をつけたり、辛味を加えてまた一杯。シメのうどんまで何杯も箸がすすんで、食後は身体がほっかほか。
猪狩りの歴史とともに
 兵庫県丹波篠山、岐阜県郡上と並び、伊豆天城山は日本のイノシシ三大産地のひとつ。平安時代より狩猟が行われていた記録があり、明治時代には宮内庁の御猟場となった。地元の人は皇族たちの狩りの世話をしながら猟の腕を磨いたといわれる。
 今も天城湯ヶ島猟友会には約50人が所属。12、3人でグループをつくり、役割を分担して1頭のイノシシを追う。以前よりだいぶ少なくなったが、3ヶ月間の猟期中に、会全体で2、30頭のイノシシを獲るそうだ。
 そして、猟の終わりには、「おきあがり」といわれる反省会兼慰労会のような酒宴がつきもの。ここでは、その日仕留めたイノシシの内臓を、ダイコンなどの野菜と味噌仕立てにする「もつ鍋」が肴だ。
 「内臓は脂が強くて一番うまいところ。年配の猟師はイノシシのうまさを“こうばしい”って言うね」とは、猟友会の鈴木三之さん。なるほど、イノシシを知り尽くした人たちの表現。季節や原産地に関係なく、様々な食物がいつでもどこでも手に入る今日、原種の豊かな香り、濃厚な味わいが本当のぜいたく品だと教えてくれる言い回しだ。
 
お狩り場処
「船原館」の食事処。囲炉裏を囲んで鍋をつつけば話も弾む

鍋
イノシシ肉は脂肪分が少ないからか、アツアツを食べてもヤケドをしないという。

陶板焼き
鍋を出さない夏場の「船原館」のイノシシメニュー『陶板焼き』。厚めの肉を塩コショウで焼き、わさび味噌やゆずこしょうなどでいただく。

 郷土食で旅は豊かに
 「猪鍋はやはり、食べず嫌いの人も多い。匂いや歯応えにマイナスイメージを持つみたい。でも、食べればおいしいという人がほとんどだよ」。旅館『船原館』主人の鈴木基文さんが言う。
 実際、イノシシ肉は煮込めば煮込むほど柔らかくなる鍋に適した肉質。それに、味噌や香野菜で匂いを和らげてあり、食べにくさは全くない。また、他の動物の肉と比べて低脂肪、低カロリーなのに滋養が高く、食べると身体が温まるため、冬場の貴重な栄養源となってきた優れた食材だ。
 「土地のものを、特徴を知る地元の人の食べ方で、その土地の景色や空気の中で食べる。それが、食材本来のうまさや栄養価を引き出し、健康な食につながる」という鈴木さんの考えに大賛成。海のない天城では、山里のご馳走、猪鍋にぜひ挑戦してほしい。日常生活にない新たなおいしさの発見は、旅の大きな収穫になるはずだ。
 「最近、テレビのレポーターが、肉のおいしさを何でも『柔らか〜い』と表現するがヘンだと思う。噛みしめるほどに味が出るイノシシのような肉もある」。鈴木さんが言うように、現代人の味覚は鈍っているのかも。私も、さらなる旬の食を追求し、五感を磨かなくては。
お店紹介

[泊まる]船原館(伊豆市船原温泉 Tel.0558-87-0711)
源頼朝が狩りの際に獲物を野火で焼き、酒宴を催したとされる「お狩り場焼き」の風習をモチーフに、囲炉裏端でアユ、シイタケ、そばがきなどの地元食材を焼く食事が好評。予約時に希望を伝えれば、冬場でも猪鍋を陶板焼きに変更可能。2007年からは、生わさびがたっぷり入った宿オリジナルメニューの「わさび鍋」が登場。湯葉やシイタケなどが入ったヘルシーな鍋は通年味わえる。平日1泊2食11000円〜(税・サ別 ※1室4名様ご利用の場合の1名様の料金)。詳しくはこちらをご覧下さい。→船原館のホームページ

[買う]マルゼン精肉店(伊豆市湯ヶ島 Tel.0558-85-0429)
グルメ情報へ
『天城猪コロッケ』は、味噌味のイノシシ肉入りコロッケ(160円)。最近では、観光客が買い求め、その場でほおばる姿も見られる天城の名物。猪肉100g 940円、猪鍋の特製たれ525円。日曜休、9:30〜18:00。※お惣菜は10:00〜16:00頃まで。

※3月末頃までは、伊豆市、河津町の大多数の宿泊施設、郷土料理店で猪鍋をメインにイノシシ料理が 味わえます。
⇒猪鍋が味わえるところはこちら

コロッケ
猪コロッケと猪サラミ
 
聞き込みメモ

新名物、誕生なるか
 ここ数年、天城ではシカの急激な増加で農作物の被害が拡大。伊豆市観光協会天城支部では、新しい名物づくりとシカ肉の消費を伸ばすために、「鹿肉を使ったアイデア料理コンテスト」を開催。応募があったレシピを基に、宿泊施設などでの商品化をめざしている。船原館では、すでに、入選作「紅茶鹿」の提供が可能。希望の場合は、予約の際に確認を。
紅茶鹿

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