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伊豆の食紀行

伊豆の魅力といえばやっぱり味覚!
栽培や漁の現場、こだわりの加工法、そして買える・食べられる場所など、
今が旬の伊豆の幸を、様々な角度からご紹介します。

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深海魚
深海魚
旬の時期漁期は9月上〜5月中旬。深海は気温などに左右されず、おいしさは安定。量的には11〜2月頃が旬。
ここ数年、戸田の名物として徐々に知名度がアップしてきた深海魚。魅力はやはり、この見た目と味わいのギャップかな。水圧から身を守るためか、表面は結構硬くてザラザラ。でも、厚い皮を1枚剥ぐと透き通るような白身だ。タイの仲間、キスもどきなど、さっぱりした甘みやモチモチの歯ごたえも、それぞれご本家に負けてはいない。うまさにつられてよく見れば、意外にカワイイ顔?!
付加価値を高めて
 駿河湾内、水深200m以下の海底に棲む深海魚を底曳き網でガッと獲る。網にかかるのは2、3千種類。そのうち食用はエビ、カニ類を含めて20種ほどで、戸田では明治頃にはすでに食べられていたようだ。
 しかし、「近年までは売り物にならず、“二文分け”、“おかず分け”と呼ばれて、漁師が手間賃がわりに自宅や近所で消費した」と、戸田漁協総務課長の山口英一さんが言うように、深海魚は地元の人だけが口にする食材だった。
 その深海魚を最近、飲食店や旅館が戸田の名物料理として出すようになったのは、やはりそのおいしさが理由らしい。今も漁協がメヒカリの水揚げを放送で知らせると、村内の奥様方がゾクゾクと漁協直売所にやってくるというのだから、その味は保障付き。後は、あの強面をどう克服するかにかかってくる。
 そこで、漁協でも県水産試験場や加工業者、村とも協力して商品開発に取り組んでいる。平成12年に発売された『すりすりメギスちゃん』は、漁師の家の食卓がヒントになった深海魚のすり身。戸田の天然塩で味付けしてあり、ハンペンやつみれの材料として好評だ。
 「人気のメヒカリは、唐揚げ粉をつけた状態で袋詰め。観光客が『これこれ、ゆうべ旅館で出たヤツね』なんて言いながら買っていきますよ」と、山口さん。村を挙げての深海魚アピールが始まっている。
 
メギスちゃん
みんなで熟考した『すりすりメギスちゃん』のパッケージ。黄色い逆三角形は伊豆半島と海の深さを表すそうだ

手長エビ
深海にはエビも多種類。手長エビ(正式名アカザエビ)はタカアシガニと1、2を争う高級品で、1kg(6、7本)6千円前後
刺身
ゴソ、ゲホウ、メギスの3点盛り。一番グロテスクなゲホウは一番軟らかく甘い。メギスはキスの仲間ではないが、見かけも味もキスにそっくり

天丼
こちらも魚重名物、深海魚天丼。直径20cm程の器に渦高く盛られたチゴダラとメギスの天ぷら。ボリューム満点でなんと1000円!

 食べぬは一生の損かも
 “深海魚料理”の看板がひと際目立つ『魚重食堂』。入口に貼られた深海魚の図録には厳つい顔が並ぶ。
 「こんなの食べられるの?!って、特に女性は敬遠するね。でも、一度食べるとうまさにびっくりして、また寄ってくれる人も多いよ」、ご主人の辻利光さんは笑う。
 元漁師の辻さんは、“おかず分け”の深海魚の安さとおいしさに着目し、10年近く前に深海魚料理を始めたパイオニア。漁師仲間から直接仕入れるから新鮮さが自慢。まずは刺身で味わってほしいという。
 店内の図録の、店で食べられる深海魚5、6種に丸を付けて、辻さんが説明してくれる。「この赤いのがゴソ。正式名はヒウチダイでタイの仲間だよ。俺も、幾種類かあってもこれに手が伸びるね」。なるほど、桜色の白身はシコシコとした歯ごたえと軽い味わい。まさにタイだ、これは。
  ゲホウ、メギス、ノドクロ。どれも、普通の魚より身が厚くてモッチリ感がある。締まった身で深海の水圧から内臓を守っているのだろうか。箸で持ち上げるとズシリとくるノドクロのてんぷらをほおばり、暗い深海を少し思い浮かべた。
 昔は二文分けの部類だったタカアシガニが、足長の姿を生かして一躍、高嶺の花になったことを考えると、このユニークな面々にもまだまだ人気上昇のチャンスがありそうだ。

お店紹介

[買う]戸田漁協直売所(沼津市戸田 Tel.0558-94-2080)
水揚げされた鮮魚や加工品などが揃い、夕飯の買い物をする地元客にもお土産を買う観光客にも人気。タカアシガニ、各種エビや「唐揚めひかり」(500g650円)、「すりすりメギスちゃん」(250g500円、500g900円)など地方発送。ホームページよりメールで申し込める。http://www.heda-gyokyou.or.jp/  水曜定休、8:30〜16:00

[食べる]魚重食堂(沼津市戸田 Tel.0558-94-2381)
多くの人に深海魚を味わってほしいというご主人の言葉どおり、安くてボリュームのあるメニュー。深海魚刺身定食1500円、魚重定食(深海魚てんぷらと刺身)1500円、深海魚天丼1000円。オマケの小鉢の自家製塩辛がまた美味。火曜定休、11:00〜15:00、17:00〜20:00(12〜2月は19:00)。

[その他]まだまだあります、「深海魚」が楽しめるところ! ⇒食べる・泊まる

 
聞き込みメモ

名前もユニーク
 見慣れない姿と同時に聞き慣れない深海魚たちの名前。正式名はあるけれど、地元独自の名前でないと通用しにくい。地元名の由来は漁師さんたちが見た目などで付けたものが多そうだ。
 例えば、アオメエソはメヒカリまたはトロボッチ。メヒカリは目が光って見えるから、トロボッチはトロール(底曳き網)漁から命名。チゴダラのノドクロは、深海から急に引き上げられて、水圧の関係で内臓が口から飛び出てしまった様子からつけられたそうだ。
 深海魚を食べる時、店や宿の人からこんな話しが仕入れられれば、きっと楽しい土産話になるだろう。
ゴソ

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