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伊豆の食紀行

伊豆の魅力といえばやっぱり味覚!
栽培や漁の現場、こだわりの加工法、そして買える・食べられる場所など、
今が旬の伊豆の幸を、様々な角度からご紹介します。

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ズガニ
ズガニ
旬の時期漁期は10月1日〜2月末。これから寒くなるにつれおいしくなる。
国道414号沿いの看板で、幾度となく目にした“ズガニ”なるもの、遂に見た、食べた。衝撃的な毛むくじゃら!爪の上のフッサフサは、まるで毛皮のマフのようだ。塩茹でにすると深緑色の体が鮮やかな朱赤に変わり、足の硬く真っ黒い毛が余計に際立つ。そして、見た目同様、味もワイルド。身もミソも、カニコ(卵)の甘みも濃厚だ。山のカニの本領発揮、姿も味も忘れ難いヤツ。※2003年掲載の特集です
自給自足の家庭料理
 「『今日は寒いからカニ汁にするか』って、どこの家でも食べる分だけ川から捕っては料理したんだ」。河津町湯ヶ野温泉『民宿かごや』のご主人は子供の頃を振り返った。昭和42年創業のかごやでは、家庭の味、ズガニ料理を宿泊客に提供。湯ヶ野、七滝温泉の他の民宿も続き、ズガニ(正式名モクズガニ)は知る人ぞ知る河津の名物になった。
 カニ汁は、ズガニを殻ごと叩いてすりつぶし、だし汁を加えてこし、味噌で味付けしたもの。ズガニ丸ごと余さず入っているから、味の凝縮感は格別。塩茹で以上にズガニを味わえる一品だ。ご飯に炊き込んでも、鍋に入れても存分に旨みを発揮するズガニの虜になって、秋深まれば河津に足が向く食通も多いそうだ。
 しかし、環境の変化からか河津川のズガニは減り続け、今は漁に漁業権が必要となり、毎年放流も行われている状況。それに、ズガニ漁人口約150名は、楽しみで捕る人がほとんどで、ズガニが魚屋に並ぶことなどはほとんどない。家族で食べたり、知人にあげたりする程度、地元では“食べる分だけ捕る”スタンスに変わりはないようだ。
 そんな状況を知ると、この希少な珍味には、河津の人の楽しみをお裾分けしてもらうようなありがたみさえ感じられる。
 
カニ汁
1杯にカニ1匹分程の旨みが凝縮されたズガニ汁。まろやかな味を連想させる甘い香りも食欲をそそる

オスとメス
お腹の模様で見分けるオス(右)とメス。人間同様、オスのほうが若干大きく毛深い。足を広げて2、30cm程になるまで5、6年はかかる
ズガニ漁
モジリを引き上げ、漁果を見る鈴木さん。針金で留めた漏斗状の口をはずしてカニを出す。甲羅が5cm以下のものはリリースがきまり


 待ちに待った季節
 漁の現場を見せてくれた元漁協職員の鈴木免男さんと建築業の飯田光治さんも、趣味としてズガニを捕る。
 この時期、産卵のために海へ下るズガニを、モジリと呼ばれる竹カゴにおびき入れる。夕方仕掛けたモジリを朝引き上げる時のワクワク感が漁の魅力だそうだ。
 「大きな岩がゴツゴツして、カニが潜むスペースがあるようなところに仕掛ける。川下に入口を向けるのがポイントだね」と、飯田さん。多いときには一度に2、30枚かかることもあるからやめられない。月夜や風の強い夜は入りが悪く、霜が降りるようになると捕れなくなるそうだ。
 川に棲んでいるくせに漁のエサは海の魚のアラ。聞けばズガニは雑食で、苔でも何でも食べているため、捕った後カボチャなどを与えて10日ほど生かし、臭みをとるとおいしいとのこと。黒っぽいミソも黄色く変わってくる。
 これからカニコ(卵)が大きくなってメスはおいしくなる。でも、オスのほうが大きくて肉はおいしいし、どちらも捨てがたい。もう少し寒くなったらまた食べたいという気持ちがフツフツと湧いてきた。花や紅葉と同じく、食も一番いい時期を逃さずに。フットワーク軽く出掛けなくては損をしそうだ。
お店紹介

[泊まる][食べる]民宿かごや(河津町湯ヶ野温泉 Tel.0558-35-7351)
もともと竹カゴ屋だから、もちろん手製のモジリでズガニ捕り。「ズガニづくし」(3,500円)は塩茹で、鍋、炊き込み飯、ズガニ汁のセット。宿泊以外に昼食、夕食のみも要予約で対応。夕食ならば当日朝の予約もOK。10月〜4月頃まで楽しめる。※ズガニまつり開催期間中は、1泊2食付きで9450円

[食べる]ドライブイン 友城[ゆうき](河津町湯ヶ野温泉 Tel.0558-35-7539)
「ズガニコース」(3,150円)は要予約。釜飯、塩茹で、鍋、ズガニ汁がつく。ズガニ汁に麺が入った「踊り子そば」「ズガニラーメン」(共に1,050円)、ズガニ釜飯(1,575円)は予約なしでも食べられる(※時間がかかるのでお急ぎの方は予約を)。10月〜2月。 定休日・火曜、営業時間9:00〜22:00

[泊まる]ホテル フレンドキャッスル(河津町湯ヶ野温泉 Tel.0558-36-8932)
「ドライブイン 友城」に併設するホテル。平日1泊2食8,400円〜10,500円。10月〜2月にはズガニ料理が味わえる。ズガニコース(1泊2食10,500円)
 
聞き込みメモ

ズガニが味わえる味覚まつり
ズガニまつり(河津町)
毎年湯ヶ野、七滝温泉の民宿で、カニ鍋、塩ゆでなどのズガニ料理をたっぷりと味わえます。
かごやズガニづくし
かごやの「ズガニづくし」
ズガニ料理まつり(伊豆の国市)
毎年伊豆の国市大仁地区の飲食店で、ズガニを使った多彩なメニューを提供。若者向けの新メニューも開発した。

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