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伊豆の食紀行

伊豆の魅力といえばやっぱり味覚!
栽培や漁の現場、こだわりの加工法、そして買える・食べられる場所など、
今が旬の伊豆の幸を、様々な角度からご紹介します。

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鮎
風流な大人の味覚 鮎
旬の時期7〜8月上旬は大きく身が厚い。6月の走りのコアユ、9〜10月の落ちアユもそれぞれにいい。
子供の頃、夏の週末毎に父親が釣ったアユの塩焼きが食卓にあがった。スマートで食べ応えがなさそうな様子と独特の苦味が嫌だった。でも今は、その嫌だったところが実にいい。上品な形、口の中でホロホロと溶ける淡い白身にワタから染みでる爽やかな苦味。好みでちょっと酢をつけて。アユは、大人が味わえる粋な食材なんだ、きっと。
アユはどこから?
 伊豆の夏を代表する名物、鮎料理。生業としてのアユ漁について聞かないこの地域で、飲食店や旅館では、どこからアユを調達するのだろう。素朴な疑問を探りながら、函南町の坂口養魚場に辿り着いた。ここは、伊豆で数少ないアユ専門の養殖場だ。
 中伊豆をはじめ、西伊豆、熱海方面にも出荷しているため、朝の養魚場は大忙し。注文は、大きさと本数で入ってくる。だから、泳いでいるアユの目方を見極めて選り分け、1本ずつ数えながら注文品を揃える。
 「旅館用が多いから、やはり型が揃ったもの、見た目のよさが求められるね。だから、ライトで日照時間を調節して、産卵期の色の変わりを遅らせたり、工夫が必要だ」と、この道30年の土屋政雄さん。
 出荷前、朝5時から始まる1日3食のエサやり。水が濁らないようアユの成長に合わせて量を加減するのがむずかしい。そして午後は、ひとつの池に2、3万匹いるアユを、少しずつ網ですくって型の悪いもの、小さなものを選別しながら出荷の準備。長年の勘と丹念な手作業は、旅館や飲食店にとって一番の安心材料だ。
 天然には天然のよさ。でも、たっぷりの手間と丹那トンネルの冷たく澄んだ湧水で、養殖アユがおいしくなるのもうなずける。
 
引き締まった流線型、緑がかったグレーの背に胸の鮮やかな黄斑が涼しさを感じさせる

選別作業をする土屋さんと坂口政比古さん。ひと池3、4日。ピーク時は30ほどの池で作業する
他所に先駆けて5月下旬に解禁となる狩野川。解禁日には数千人が初釣りを楽しむ

三枚にして炙ったアユを炊き込む釜飯。炊きたてを混ぜると、ふわふわの身がご飯粒一つ一つにまぶされてまろやか

 地域のシンボル
 天城山から駿河湾まで、伊豆の真ん中を流れる狩野川は、天城の雨と富士山の湧水により、水量豊富な清流で、アユ生息の適地として知られている。さらに、アユ釣りでもっとも人気の「友釣り」発祥の地といわれ、毎年、全国各地から多くの太公望が訪れる。
 「伊豆・狩野川といえばアユ。そんなイメージがあるのだから、大事にアピールしていこうと先代がはじめたんです」。昭和47年から老舗旅館に併設して大仁町で鮎料理専門店を営む『鮎茶屋』の社長、内田敏克さんは言う。ここは専門店だけあって、釜飯、雑炊、南蛮漬、洗いなど様々な料理があり、塩焼き以外にピンとこないアユの新しい味わいに出会えそうだ。
 また、大仁では飲食店30軒が集まって『鮎料理まつり』(〜9/1)を開催中。のぼりが出ている店では、各店が工夫した鮎料理が食べられるという。和食以外の店もあるので楽しみだ。
 先般、内田さんは町内の小学校に鮎料理を教えに行ったとのこと。地域を知る学習や地産地消が進められる今、大仁町では地域資源としてのアユを地域ぐるみで育んでいるようだ。
 日頃、魚屋さんではなかなか見られないアユ。この夏は、伊豆でたっぷり味わってみてはいかが。

お店紹介

[泊まる]河鹿庵(河津町七滝温泉 0558-36-8311 木曜休)
山あいの隠れ宿として人気。独自の方法で自家養殖する子持ちアユの料理が自慢。

[買う]三田鮎店(伊豆市修善寺柏久保 0558-72-0211)
ちょっとめずらしい、自家製アユのひものを販売している。中伊豆ならではのお土産に。

[見る・楽しむ]アユ釣り(狩野川漁業協同組合:大仁町大仁 0558-72-5945)
電話(釣り情報:0558-72-9600)やホームページで随時、川の状況や釣果、イベントなどの情報を流している。ホームページには、流域の釣り場ポイントマップやおとり取扱店一覧なども。http://www6.ocn.ne.jp/%7Ekanogawa/

[見る・楽しむ]鮎のつかみ取り(「道の駅」花の三聖苑 0558-42-3420)
三聖苑裏の那賀川でアユのつかみ取り体験ができる。1匹450円。その場で塩焼きにしてもお土産にしてもいい。(7月下旬〜8月下旬、10:00〜16:00)

[その他]まだまだあります、「鮎」が楽しめるところ! ⇒食べる

*取材協力店

[買う]坂口養魚場(函南町平井 0559-78-2015)
注文どおりの型、本数のアユがいつでも揃うので、多くの旅館、飲食店の御用達。天然モノの何分の1かの値段も魅力。小売りもするので個人の地方発送注文も多い。詳細は電話で問合せを。

[食べる]お食事処 鮎茶屋(伊豆の国市大仁 0558-76-5222)
アユのフルコース(3465円〜)や定食(1890円〜)、鮎釜飯と塩焼きセット(2100円)に単品各種。好みに合わせて鮎料理を堪能できる。
 
聞き込みメモ

家でもふっくら塩焼き
「家庭のガスコンロの直火では強すぎる」という内田さんに、小学生に教えた遠火のアイデアをご披露いただいた。まず、コンロに魚焼き網をのせ、両側にレンガで10〜15cmほどの壁をつくる。その上にアユを刺した串を渡してじっくり焼けば、外はパリッ、中はふっくら。レンガで火傷しないように注意。(下図参照)

川の魚は“N”、海の魚は“W”

家庭ではなかなか真似できないけれど、料理屋さんのアユの塩焼きは、少し波打って尻尾がピンと跳ね上がり、粋のよさ、躍動感を表現。ちなみに海の魚は頭と尻尾が持ち上がった“W”型だそうだ。機会があったら確かめてみて。

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