| 「山下に流水あり こんこんとして止む時なし 禅心もし是くの如くあれば 見性あにそれ遅からんや」と白隠禅師が歌ったように、この地は富士山の雪解け水が大自然のろ過によって磨かれ、こんこんと湧き出る名水の郷。高嶋家では13年がかりで地下150メートルの水脈を掘り当て、約300年前に降った富士の雪解け水といわれるまろやかな湧水を仕込み水に使用している。 さらに若き当主・高嶋一孝さんが、普通酒を全廃して、全量箱麹造り・槽(ふね)搾り・瓶燗急冷という吟醸仕様の造りに切り替え、製品全体のレベルアップを図った。「機械搾りと違い、槽搾りは酒のもろみを酒袋に手作業で詰め、50段ぐらいに積み上げて上から圧力をかけるので、3人がかりの大変な作業です。酒袋の洗濯もハンパじゃない」と汗をぬぐいながらも「今、生酒をマイナス5℃の超低温で熟成させ、出荷時に火入れするという実験もやっています。面白い酒ができると思いますよ」と意欲的に語る。そんな若き酒造家のチャレンジ精神が、駿河に新たな"過ぎたるもの"を生み出すに違いない。 |