| 創業100余年の千寿酒造は、2009年に創業者一族から生え抜き社員に経営がバトンタッチされた。“蔵元杜氏”になった鈴木繁希さんは、千寿が長年培ってきた新潟杜氏の伝承の技をベースに「自分で挑戦してみたい酒をいろいろ造っていきたい」と意欲的。
昭和58年、新卒で入社した鈴木さんは、当時すでに斜陽産業になっていた酒造業に「得体のしれない奥深さ・面白さ」を感じ、現場仕事を一から覚えた。「実際、面白いと思えなければ続かない」と自嘲するほど厳しい現場だったが、実直で誠実な人柄が蔵元や杜氏に認められ、次期杜氏として責任ある仕事を任され、ついには経営者の地位に。老舗の看板を継ぐ重みと責任を噛みしめながらも、自分のカラーを少しずつ発揮し、千寿の新たな個性としてアピールしている。数年前から始めたという山廃造りや地元農家の有機米での酒造り、農水省認定“地産地消仕事人“41人の一人に選ばれた浜松の料理人・高林秀幸さんとコラボ企画した酒みりん・純米料理酒など、新商品も話題を集めている。
「オヤジさん(高綱杜氏)の教えで最も大切なのは、衛生管理など、基本中の基本を絶対に見失うなということ。若いスタッフは指示した作業は完ぺきにやってくれますが、掃除や道具の管理など作業工程の大前提となる部分をおろそかにしたら意味がない。そのことを改めて実感する毎日」と語る鈴木さん。
酒蔵は予約すればいつでも見学できるので、ぜひ訪ねてみてほしい。 |