| 磐田原台地は天竜川が蛇行し、綿々と水を湛える豊穣な地。戦前は10軒の酒蔵があったそうだが、今はここ一軒のみ。千寿酒造は磐田唯一の酒蔵としてふるさとの土地の豊かさを伝えようと、地元ゆかりの悲恋伝説の舞姫「千寿白拍子」を酒銘に、地元の米、水、造り手による本物の地酒を目指している。蔵元の山下高明さんは大手ビールメーカーでマーケティングのキャリアを積み、その後家業に戻ってからは精力的な営業活動のかたわら、有機米純米酒、黒米酒、本格焼酎など個性的な商品開発にも取り組んでいる。その山下さんと二人三脚を組むのは東京農大醸造科出身の製造部長・鈴木繁希さん。50余年にわたって培われた新潟杜氏の伝統技術を中村、高綱両ベテラン杜氏から直接伝授され、その継承と発展に努めている。現在は先輩杜氏も造ったことのない山廃造りに挑戦中。創業100年の節目を経て、若き担い手たちの力で今、新しい蔵の歴史が拓かれようとしている。 |