「臥龍」という言葉は中国の古典・三国志演義の中で、世に出る前の英雄、諸葛孔明を例えたもの。雲雨の到来とともに天に昇る龍が、地にひそみ隠れて、その機会をうかがっているという意味だ。興津の名刹・清見寺には、徳川家康がお手植えしたといわれる臥龍梅の老木が、今も花を咲かせる。まさにその名のごとく、龍が臥せっているような見事な枝ぶりである。
三和酒造では臥龍の故事と、地元の名刹に残る銘木にちなみ、"やがては天下の美酒と謳われるように"との願いを込めて、「臥龍梅」を発売した。総米600kg程度の吟醸小仕込みで、手間隙かけた丁寧な造りが特徴。静ごころや羽衣の舞の、静岡吟醸型の爽快でほどよい香味とは一線を画し、味も香りも豊かでインパクトのある酒質にしたところ、国内外のマーケットに確たる存在感を示すようになった。
「臥龍梅」シリーズでは、酒米の王者・山田錦の親種にあたる幻の酒米「短稈渡船(たんかんわたりぶね)」の復活に独自で尽力したり、静岡県の推奨米「誉富士」や人気の酒米「備前雄町」などを積極的に使用するなど、日本酒の味わいの豊かさ・幅の広さを表現する努力も欠かさない。眠れる龍が目覚め、真の昇り龍になる日も遠くないはずだ。 |