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いつもの地下鉄を降りると、そこは昭和39年の東京だった――。

あなたは、父になる前の父親を知っていますか?
あなたが生まれる前の母親に会いたいですか?

国境を越えて、時代を超えて、永遠に変わらない人生のテーマ――親子の愛、そして男女の愛。
どんなに世の中が移り変わっても、人はこの愛に悩み、傷つき、それでもそれを求めずにはいられない。
「地下鉄(メトロ)に乗って」は、時代を超えて絡み合う運命に翻弄されながらも、
また再び胸を張って愛に生きようとする男女の姿を通して、人生の美しさを描く感動作です。

ヒロイン・みち子を演じた女優の岡本綾さんに、作品の魅力についてうかがいました。

(C)2006 METRO ASSOCIATES
 
 


■みち子という女性―――
Q:強い女性「みち子」を演じるにあたって、気を使った点がありますか?
強さっていうのは、形として見えるものではないので、非常に悩んだんですけれども、そこを意識したというよりは、みち子が27歳で、私が今まで出会った役の中で最年長だったので、大人の女性というのを結構意識して…。私の思っている大人っていうのが、筋の通っている、芯の強さとかであるんではないかなと思ったので、そのへんが、彼女の強さと一緒になったらいいかなって思いました。

Q:岡本さんと共通する部分はありましたか?
私と共通している部分は、ほんとに今回は探すのが大変で(苦笑)、感情を内側に秘めることだったりとか、やっぱり、お時さんというあの母親から生まれてきて、譲り受けた強さがあって、彼女が行動することとか、決断することっていうものが、その強さにベースにあるものだと思ったので、本当にみち子という女性が強いと思った時に、私にはみち子の強さがないので完敗したなと思ったんです。
どこか彼女のことをわかってあげられるだろうかと考えた時に、人を好きになることっていうのは、女性なら誰でもできるし…もちろん男性もそうなんですけど、その気持ちは誰にでもわかってあげられることだなーと思って、唯一彼女と共通している部分が人を好きになるということでした。

Q:せつないお話ですが、台本を読まれた時の最初印象は?
台本の前に、浅田先生の原作を読んだんですけど、あの、最後の「秤にかけていいですか?」というセリフがズシンときたというか、最後まで心に残った一言だなーって印象に残っていますね。


Q:監督さんからはみち子をこう演じてほしいとか要望はありましたか?
撮影に入る前に、お互いに、みち子という人間がどう思うかって話した時に、もう、「強いですよね」っていう言葉しか出なくて。で、きっと浅田先生の原作を読んでる方っていうのは、多分それぞれにみち子像というのができあがっていると思うんです。だから衣装合わせの時なんかも、監督と「ああ、みち子はきっとこういう服を着ますよね」っていうのがすぐ決まるぐらい、なんか浅田先生の中にあるみち子っていうものができあがっていたので、その世界観というものを壊したくなかったし、原作を読んでる方に「みち子は違うな」って言われないように丁寧に作っていきました。





 
 
■地下鉄の思い出―――
Q:地下鉄のイメージは変わりましたか?
小さい頃に、よく乗ったんですけど、私は小学校の1年生くらいから、こういう仕事をさせていただいていて、母がマネージャーさん代わりでずっと付き添ってくれていたのですが、その交通手段が地下鉄で、なんか、仕事に行くという感覚ではなくてどこかに行けるっていう気持ちだったりとか、同じ小学校の地区の友達より先に都会に出てるんだっていう自慢げな気持ちがあったりとか、姉がいるんですけど、母親とか父親の取り合いするじゃないですか、それをせずに母親を唯一独占できる場所で、私の中では温かいイメージの乗り物でした。

みち子と真次もそうですけど、両親に会いに行くこととか、確執をとりに行くことで、温かい気持ちになれたというか、何かを許すことを知ったり、人を愛することを体験できる乗り物だと思いました。
利用してる皆さんのそれぞれの気持ちとかを、乗せている乗り物だなと思うと、そんなに、後と前では変わらなくて、ほんとに温かいイメージのままです。乗り方の楽しみ方としては、もしかしたらこのままどこかに連れて行ってくれるんじゃないかな――って思ったり…(笑)。

 



 
 


■時空を超えたタイムスリップ―――
Q:過去に行ったり、現代に戻ってきた瞬間とかの気持ちの入れ方とかで苦労された点はありますか?
過去に行った時っていうのは、逆に私も見たことのない時代だし、みち子も見たことのない風景だったと思うので、気持ち的に何かを変えたっていうのはなくて、事前に準備をしないで入ったんですけど、目に映ったものが、初めての驚きがあって、新鮮に受けとめたのが、そのまま自然に表現できたらいいなと思っていた部分があって…。また、戻った時っていうは、やっぱりその場で見たものを持ってくるだけでした。
現代の人間っていうことを意識していたので、特に過去に行ったり、戻ってきたりで芝居を変えたっていうのはなかったですね。

闇市から戻って来た時は、私の中では、ゆっくり喋る方がいいと思っていたのですけど、堤さんが真次目線でみち子を見てくださっていて、「何が起こっているかわからない状況なので、ちょっとスピードを速めて言ってみたらどうかな」って言ってくださって、ベッドで飛び跳ねたシーンなんかは、私が考えていた芝居というより、ほんとに堤さんに引き出してもらった部分です。そういうのがいくつかあって、本当に助けられました。

Q:もし、タイムスリップするとしたら?
私の両親がどういう風に出会って、愛し合って、愛を育んできたのかというのは、気になったのですけど、作品を観終わった後に、出会いだけじゃなくて、二人がどういうふうに生まれて、おばあちゃんたちにどういうふうに育てられて、それぞれ別の人生を歩んでいたのに、どういう風に出会って…っていうのも気になったし、自分が父親に名づけられてた瞬間とかを、もしも見られるのであれば、なんか幸せだなって思うし。

Q:岡本さんが感じた昭和っていうのは?
撮影現場にあったものが、ちょっとレトロな雰囲気だったり、商店街などは伊東市でロケをさせていただいて、今ある商店街にちょっと手を加えただけなんですけど。実際にその時代に走っていた車を、コレクターさんが大事に今も持ってらっしゃったのをお借りして、それが目の前を走ったりしてたのですが、なんかこう丸いものが多かったのかなーという印象がすごく多かったです。車も丸みを帯びてたりとか、お兄ちゃんが乗ってた自転車もどこか今とは違ってまるみがあったりだとか、電話ボックスも引き戸で穴が開いてるだけだったりとか、電話もそうですけど丸みを帯びていて、人々の気持ちとかも丸く温かいものが流れていたんじゃないかなと思いました。
印象に残ったシーンの中にもあるんですけど、真次が階段を上がってきて、荷物を持ったままで、過去に戻った時に、二人の若い男性が「おじちゃん」って普通に声をかけられることとか、今の時代はそんなことはないというか…、人とのつながりとか会話が、ほんとに今よりも密な距離感だったのかなっていうのは感じましたね。






 
 
■撮影中の雰囲気―――――
Q:最後のバー・アムールでの4人のシーンはとても重要で、かなり熱いシーンだったと思いますが、現場のようすはいかがでしたか?
バーのシーンだけで2日間撮影をして、もちろん適度な緊張感はあったし、一人一人が解決していくシーンだったので、現場自体もいい意味でピリッとしていました。私はラストの方で、あのシーンを撮影していただいたので、自然に思えることも多かったし、お時さんの佐吉を触りにいって、「うるさい」っていうみたいなことを言われても何も言わずにしている姿とか見てて、ああ、ほんとにこの人たちは愛し合っていたんだなーって思えたし、真次さんが「幸せでした」って言った時も、やっと和解してくれたんだなって思えたし…。
私はあのシーンでは何もしていなてというか、先輩たちのお芝居をゆっくりじっくり見せてもらえて、皆さんの中にいることが本当に幸せで、それがみち子が生きてきた一番幸せな瞬間と一致したシーンで、皆さんにほんと助けていただいたっていうか、私がその中をフワフワと泳いでいたなって思います。

Q:堤さん、大沢さん、常盤さんの印象は?
堤さんといることが多かったんですけど、普段は関西弁でおしゃべりをなさっていて、それが、笑いを誘ってくれたりとか、緊張感をなくしてくれたりとか、やっぱりいつもリードしていただいたなって思っています。


常盤さんは、それこそ最後のシーンでしかお会いしてないんですけど、なんか「大丈夫!」っていう感じで…不思議な出会いだったんですけど、撮影の前に製作発表でお会いした時に、安心感がすごくあって、みち子じゃないですけど、出会うべくして出会えた人なのかなって思いました。


大沢さんは、いろんな年代の顔を見せていただいて、もちろん役に入っていない時の大沢さんも見てるんですけど、あまりにも、小沼佐吉という人の人生を背負っていたので、実際の大沢さんというのはどういう人なんだろうって謎が深まりましたけど…。


でも4人が揃った時というのは、和気あいあいと芝居の話というより、たわいのない話をして盛り上がっていました。






 
 
 
 
 

■「地下鉄に乗って」という作品―――
Q:映画をとおして、伝えたいことってありますか?
そうですね。私はやっぱり一人の人をこんなに愛せるってことを教えてもらったし、逆に命を賭けられるのであれば素敵なことだし、監督が“時”というものをすごく大切にしたいっていうことをおっしゃっていたので、もちろんそれも伝えたい作品だし、昭和の姿っていうのは、若い人たち―私なんかもそうですけど―知らない世界なので、そういうものを見ていただいて、なんか発見していただけたらと思います。
ほんとに見方がいろいろあって、主人公が4人いるので誰に注目して観るかによって、見方や感じ方が違うと思うので、何度も観ていただいて、愛していただきたいと思います。


Q:最後に、ご覧になる方にメッセージをお願いします。
「愛」がテーマなんですけど、男女の愛だけではなく、親子の間にある愛っていうのもすごく大きく描かれているので、大切な人と劇場に足を運んで観ていただきたいなと思います。





 
 

【プロフィール】
岡本綾/軽部みち子役
1982年、東京都生まれ
映画デビューは主演の樋口可南子の幼少時代を演じた「陽炎」(91)。2005年の「Mの悲劇」(TBS)、「エンジン」(CX)、「いま、会いにゆきます」(TBS)などのドラマに出演。今一番注目されている若手女優の一人であり、多数のCMにも出演している。その他の主な映画出演は、「学校の怪談」(95)、「いちご同盟」(97)、「老親」(00)、「あずみ」(03)、「スカイハイ」(03)、「ムーンライト・ジェリーフィッシュ」(04)など。今後の待機作に、2007年2月公開となる井ノ原快彦、清木場俊介と共演の「天国は待ってくれる」がある。

 
 
地下鉄は忘れかけていた何かを伝えようとしているのかもしれません。かすかな希望を温かいシートに乗せて…。
あなたも、あなただけの地下鉄に乗って、あなたの知らない、あなたの物語を探してみませんか―――


「地下鉄に乗って」は10月21日(土)より全国ロードショー公開です!


岡本綾さんは、本当に可愛らしいっていう方で、感性が豊かな印象でした。質問にていねいに答えて下さる時、キラキラした瞳で見つめてくれるのです。目が会うと、いつものことですが、最初は普通に聞いているのですが、ずっと続くと、つい、顔を伏せてしまいました。ドキドキ…
物静かな感じの岡本さんが、強いみち子を演じたことによって、ずいぶん女優さんとしても大きくなられたのではないでしょうか。この映画をとおして、成長なさった岡本さんの今後のご活躍を期待しています。
インタビュー後のおしゃべりで、堤さんと大沢さんとどちらがカッコよかったかというお話が出たのですが、お二人とも背が高くて、素敵だったということでした。しかし、「普通の白いジャージを着ていても、大沢さんはカッコよかった」と言うこともおっしゃっていまたことをつけ加えておきます。う〜ん、やっぱり…



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