静岡新聞掲載 - 店頭からお薦めの一冊
カッコウの卵は誰のもの
カッコウの卵は誰のもの

著者/東野圭吾
出版社/光文社

金額:1,680円(税込)
ISBN:978-4-334-92694-6

緋田風美は、高校を卒業したばかりのアルペンスキー選手。高校生の大会で3連覇を達成し、将来を嘱望されている。父親の宏昌もかつてはアルペン競技でオリンピックに出場した経験を持っており、親子2代続けてのトップスキーヤーだ。ある日、彼女が所属する新世開発の研究者が宏昌を訪ねてきた。柚木と名乗ったその男は、運動能力に関する遺伝子を研究していると説明し、彼ら親子の遺伝子パターンを調べさせてほしいと言いだした。宏昌は了承するわけにはいかない事情があった。それは、風美が生まれた19年前のある事件が原因だった……。
東野圭吾が新たに挑んだテーマは「才能」と「親子の愛」。才能がどのように遺伝するのかを調べる柚木を前に、宏昌はかたくなに調査を拒否する。それはわが娘を守るためだけでなく、自分の犯した罪をも隠ぺいすることでもある。その上、風美のファンという高齢の男性がバス爆破事件で大けがを負う。偶然なのか仕組まれた罠なのか、そして風美の本当の両親はいったい何者なのか。宏昌が封印していた過去を探るうちに、彼自身も知らなかった驚愕の事実が明らかになっていく。その過程で、謎が新たな謎を呼び、宏昌は更なる苦悩に突き落とされていく。
今回の作品は、ミステリーとしての昂奮だけでなく、親が子を思う気持ちに血のつながりは関係するのか、他人の子供を自分の子としてどこまで愛せるのかという感情面に深く切り込み、著者の新境地を確立した作風となっている。これまでの男性ファンだけでなく、多くの女性ファンも魅了することは間違いない!



バックナンバー
2010年 2月
2010年 1月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 9月
2009年 8月
編集/アットエス  Copyright (C) The Shizuoka Shimbun. All rights reserved.