044「ものづくり」精神
044「ものづくり」精神
石川 勇(取締役総務)さんにお聞きしました。
-INCQCとは、どのようなコンテストですか
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International Newspaper Color Quality Club 以下INCQC(国際新聞カラー品質コンテスト)は IFRA(国際新聞技術研究会)が主催で、NAA(アメリカ新聞発行者協会)、PANPA(環太平洋地域新聞発行者協会)とのジョイントプロジェクトです。
INCQCは1994年に設立され2年に1回開催されます。コンテストの目的は新聞のカラー品質の№1を決めるのではなく、業界全体の印刷品質レベルアップを目指すものです。
◆ 静岡新聞社はINCQC 2006~2008年度に応募
同年のコンテストには世界38カ国と地域から181社が応募
◆コンテストの評価方法は、
①デジタルターゲット関係の数値評価
②ニュースカラー写真とカラー広告の評価
③通常発行している新聞印刷紙面の総合評価
このコンテストで静岡新聞社は世界上位50社のクラブメンバー入りし、2年間の栄誉が与えられました(オランダ・アムステルダムで表彰される)。
カラー写真などの色彩再現や印刷技術、高品質の紙面管理などが問われる同コンテストでの上位50社入りは、日本の新聞社では初めてでした。同時に、アジアの同規模の発行部数の新聞社から選ばれるアジア賞も受賞しました。
-取組において、苦労された点はどのようなところですか
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当時、印刷局と画像処理を担当する制作技術局を含めた“プロジェクトチーム”を結成しました。IFRAからネット送信されてきた「課題のカラー素材」をプロジェクトチーム内で検討し、数回のテスト印刷を行いコンテスト本番に備えました。INCQCは欧州の色彩表現や印刷が基準になっているため、課題のカラー素材のうち最も苦心した点は、デジタル広告の色再現でした。
欧州の藍インキは日本の藍インキに比べて、微妙に赤みを帯びています。課題の「デジタル広告」原稿はCMYKの4色に分解されて各応募社に送られ、その色彩通りに日本で印刷しても、併せて送られてくる色見本とは異なる色合いに仕上がってしまいます。「デジタルカラー広告課題」の印刷は通常の本紙紙面に盛り込む形で行うため、IFRAから送付されてきた色見本通りの色になるようインキ量を調整すると、今度は同じ面のほかのカラー素材の色が狂ってしまいます。プロジェクトチームは課題のデジタルデータのプロファイルのみ変換が認められたことを利用し、課題の印刷データを逆算して、デジタル写真段階のデータに一度戻しました。その後、あらためて静岡新聞社のCMYKの印刷データに変換し直すことで、欧州標準の印刷データに適合させました。
同コンテストのデジタルターゲット関係の評価は、主催者側が分光光度計で測色した数値結果が評価されるという厳しいものでした。日本の新聞用ジャパンカラー(JCN)と測色条件が違う点はブラックバックです。これらに関しては静岡新聞社独自の色彩管理用フォーマット(汎用表計算ソフトExcelで作成)を活用しました。テスト印刷時にドットゲインやグレーバランス、1次色ベタ濃度とドライダウン後の色彩値ほかの数値データの確認を行いました。IFRAでの色差の求め方は「CIE DE 2000」を基本にしています。そのためCIE DE 76やCIE DE 94と比較した場合、CyanとYellowの領域で数値的な差が現れます。CIE DE 2000は色度によってa*座標を補正したものですが、この微妙な違いが、欧米人と日本人の色を見る官能評価に現れるのではないでしょうか。
-受賞後の国内での反響は、どうでしたか
新聞各社からの問い合わせも多くあり、印刷専門誌でも取り上げていただき「INCQCに国内初の入賞」したことが「スゴイ!」の驚き・・・でした。
-授賞式でのエピソードなどをお聞かせ下さい
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アムステルダムでの受賞式典で司会者が「静岡新聞」と名前を読み上げるのに、英語でサシスセソの「シ」発音が上手く出来ず、受賞者がマイクを取り自己紹介を行いました。このタイミングでレセプション会場の2階席から「万歳・・」の歓声で式典が多いに盛り上がりました。
赤羽 昭人(印刷部員)さんにお聞きしました。
-版微プリセット機能とはどのようなものですか
新聞のカラー印刷は、墨、藍、紅、黄の4色を正確に重ね合わせることにより印刷されています。その4色位置を数値で示すのが、版微位置です。この版微位置が4色とも紙面上で同じ位置にあることにより、正しい色が再現されます。
版微位置は印刷スピード、新聞のページ数、新聞用紙など様々な要素によって変化します。印刷開始直後にいち早く版微位置を修正し、4色を合わす事が損紙(不良品)の削減となり、環境負荷軽減につながります。この版微位置を印刷前にセットし、より早く4色の重ね合わせをするための機能が「版微プリセット」です。
-開発前は、どのようにされていましたか
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版微データシートを作成し、毎日の印刷データを手書きで記入していました。記入したデータは用紙別、建てページ別に管理し、印刷前にはその日の印刷条件にあったデータを抽出して、人間の手で版微位置を動かしていました。特に、用紙が新聞用紙と商業印刷用の中質紙では版微データが大きく異なります。煩雑な作業の中で事前に版微を動かすのを忘れたり、データが不正だったりすると、色が合うまでに時間が掛かります。その間の新聞は商品価値がなく、すべて損紙となります。より早く色を合わせることがポイントであり、損紙削減のテーマのひとつでした。 |
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-導入後の効果をお聞かせください
作業時間の短縮と、正確な版微位置の自動設定ができるようになりました。導入前は人間の手で設定を行っていたので、2台のカラー印刷機で10分~30分の作業時間を要していましたが、導入後はカラー印刷機が3台に増設されたにも関わらず僅か10秒ほどで完了してしまいます。
前述のように以前はデータを手書き記入し、オペレータが印刷前に版微位置を動かしていました。そのためデータの記入ミスや版微位置のセットミスが多々ありました。そのミスが、損紙の増大となります。パソコンでデータを自動保存し、また逆に保存したデータを自動的に機械にプリセットする事で、ミスがなくなりました。印刷媒体ごとに記入していたデータの管理も大変でしたが、パソコンでの一括管理に代わりました。印刷開始時の大幅な損紙削減につながったと同時に、作業自体も軽減されました。「平成21年度日本新聞協会技術委員会賞」の受賞は、この点が評価されました。
-開発中にメーカーとの打ち合わせで苦労された点はありますか
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グループ内での討議、メーカーとの打ち合わせも数十回に及びました。その中で、メーカーに当社独自の作業内容を理解してもらうことや、開発の趣旨を伝えることで苦労しました。新聞用紙の幅方向の伸びは、印刷速度の低速と高速で異なります。そのために版微位置のプリセットも低速用と高速用があります。これは日々の作業の中から考え出されたもので、この作業を自動化するために、メーカーも加わっての開発には多くの苦労を要しました。 |
田形 政利(印刷部副部長)さんにお聞きしました。
-ハインリッヒの法則について、説明願います
これはアメリカの技師、ハインリッヒが発表した労働災害を分析する事によって導き出された法則です。もし、重大災害が1回起こったと仮定しましょう。その背後には軽度の傷の事故が29回、事故には至りませんが、ヒヤリ、ハットとする出来事は300回ほどある。と言う警告です。
ここで想像して下さい。日常の生活で、このヒヤリ、ハットの状態までいかない、もしくは自覚しない数はどのくらい体験しましたか?これは相当な数になることでしょう!日々の作業でも、同じ確立です。つまり、
重大事故(1):軽度の事故(29):ヒヤリハット(300)
で言い表されている数字は、よく考えてみれば非常に高い確率で大事故が起こる事を示しています。だからこそ、この重大事故になる前のヒヤリ、ハットの時点で安全対策を考え、実行する事が大切なのです。
-作業安全のマニュアル冊子は、どんな点に注意して作成しましたか
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現場の作業者が、①見てくれる②読んでくれる③実行してくれる、と言う3点に注意して作成しました。この点からも分厚いマニュアル本ではなく、20ページ位の冊子にまとめる事にしました。また、内容についても現場の意見を参考にイラストや写真を掲載する事で、より分かりやすいものにまとめました。勿論、必要に応じて改訂をしています。現在では8版目になっています。
-安全確保とスピードアップをどの様に考えていますか
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「作業安全を行う事は作業スピードが遅くなる」とは思っていません。確かに、安全確保の為、慎重に作業したり確認作業をしたりする事もあるでしょう。しかし、それは一連の作業の流れであり、作業手順として、安全作業も組み入れた「作業の標準化」になる訳です。作業者のスピードは①認知度②経験、熟練度③体力差④年齢等で個人差が生じます。そのため、作業者同士でバランスを取る必要が有ります。このバランスを取るために、毎年、新入社員が1年経つ頃にアンケートを実施しています。アンケートの回答では、全員が安全に対しての理解を示しています。その上、一年経つと作業にも慣れ、先輩と同じくらいのスピードで作業するようになるので、その点でも作業スピードに関しては心配していません。しかし、それよりも注意すべき点は、共同作業の中での身勝手な行動や手抜き作業をしてのスピードアップを図る事であり、それがケガや事故の原因となります。
-今後の抱負をお聞かせ下さい
現場作業においても目標は「人身事故ゼロ」です。我が社では、3ヵ月毎に安全月間を設けています。社員の安全意識の高揚と安全教育を目的として実施しています。新人社員には公共機関での安全講習の参加、ビデオによる安全講習も行っています。今後も安全、安心な職場として「人身事故ゼロ」に取り組み、頑張っていきたいと思います。
INCQC 2度目のメンバー入り
審査は4ヶ月に渡る技術的な課題評価部門と新聞専門の審査員による日常発行する新聞の品質評価部門の2つからなり、それぞれの得点の合計点によって評価されます。我々はこのいずれにも高評価を受け、INCQCのメンバーたる名誉を与えられた事に誇りにしています。
静岡新聞社は今後も、長年の経験と技術に基づいたカラー印刷の品質を更に向上し続けます。

「より美しく」、「より読みやすい紙面」を使命として、社員一丸となって取り組んでいます。インキや用紙などの研究ばかりでなく、印刷機の構造を理解したうえでの創意・工夫も積極的に行い、印刷技術向上に努めています。

印刷工程の中で最もコストが掛かるのが、用紙です。用紙のムダ、即ち損紙を例えば0.1%減少させるだけでも、1ヵ月でのコスト削減額は大きなものとなります。この観点から、長年あらゆる面から損紙削減策を講じて来ました。
用紙をはじめ、巻取紙を保護しているワンプや新聞束の下敷きなどにリサイクル品を使用しています。また、使用済みの版も他社に先駆けて、アルミのリサイクル活動を行っています。

輪転機は高速回転する機械であり、操作方法を誤れば、時に危険なものとなる事もあります。これまでの経験を元に、いかに操作すれば安全であるかをマニュアル本にまとめました。これにより確かな安全が確保され、安心して働ける職場となっています。
また、職場からの有機溶剤排除、騒音低減策なども考慮し、健康面にも配慮しています。







「より美しく」、「より読みやすい紙面」を使命として、社員一丸となって取り組んでいます。インキや用紙などの研究ばかりでなく、印刷機の構造を理解したうえでの創意・工夫も積極的に行い、印刷技術向上に努めています。
>>> 活動事例
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また、職場からの有機溶剤排除、騒音低減策なども考慮し、健康面にも配慮しています。
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