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月刊一緒にNIE@しずおか・第1土曜掲載=キーワード意識、深まる理解 「意見表明力」を強化-労働テーマに公開授業 静岡聖光学院中・高

2019年01月05日(土)付 朝刊


 NIE実践指定校の静岡聖光学院中・高(静岡市駿河区)でこのほど行われた、新聞記事を使った公民の公開授業。中学3年生21人が「新聞記事を活用して、日本の労働や雇用問題を考えよう!」をテーマに、仕事をするというのはどういうことか、ということをイメージしながら、働きやすい職場を築くための労働者の権利や雇用について討論を重ねた。

 この日は、「外国人労働者の受け入れ拡大」「非正規労働者や無業者」「パワーハラスメント」を議題に選び、グループ別に現状と解決策を話し合った。生徒には事前に、関連する新聞記事が配布され、読み込んでいる。「それぞれの問題のキーワードを探しだして、感じた率直な考えをまとめてみよう」と担当の伊藤大介教諭。生徒らは頭を悩ませながらも、グループごと配られたタブレット端末を駆使し、情報収集しながら意見を集約して、短時間でホワイトボードに書き出した。
 生徒からは、新聞記事で理解した国の施策や動きを踏まえ、さまざまな意見が上がった。
 外国人労働者問題には、具体的な数字を示した上で「言語や生活環境の差を経営者側が理解し対応すべき」との考えを展開。非正規労働者や無業者については、バブル経済崩壊から就職氷河期など時代の流れが生んだ背景を説明した。パワハラ問題は訴訟面から取り上げ、「裁判による金銭的な負担などについて制度改革を」と提言した。
 新聞を読む授業の目的は、社会情勢に目を向け、世間の動きを把握し、自分の言葉で考えを語る「意見表明力」を強化すること。伊藤教諭は授業の理解に役立つよう、関連する記事を複数紙読ませてきた。「集中して記事を読み込めるようになってきた。『意見表明力』も少しずつ向上しているので今後も記事を読み比べ、考えを深めてほしい」と話した。授業を受けた深沢令君(15)は「複数の記事を読み比べることでいろんな角度から物事を捉えることができる。理解が深まるし自身の考えも膨らむ実感がある」と手応えを口にした。
 

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それぞれ担当した議題について話し合う生徒ら=静岡市駿河区の静岡聖光学院中・高

 

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グループごとまとめた意見を発表する生徒

 

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■紙面授業-社会 戦争体験継ぐ使命 静岡雙葉中・高 片山徹先生

 「平成最後の」年始を迎え、退位される天皇陛下のお言葉を改めて思い起こしたいと思います。陛下は折に触れ「歴史を顧み、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い」、「深い反省」を口にされ、その折々、新聞でも大きく報じられました。戦争を知る世代としての陛下のメッセージを、豊かな時代に生きる生徒たちに渡すのが社会科教員の使命の一つでしょう。
 このような思いを得る基となった経験は中学3年の時でした。歴史の先生が「社会部」を立ち上げ、静岡空襲の遺族を訪ねる活動を始めました。
 静岡市田町の遺族を伺った時のことです。空襲が始まり、その方は息子さんの手を引き安倍川へ逃げたのですが、途中で焼夷[しょうい]弾が直撃し息子さんは亡くなられたのです。話しながらその方は男泣きするのでした。私はその時「戦争はなぜ起きるのだろう」と疑問を持ちました。これが、私の学びの原点だった気がします。
 雙葉中学では3年生の時に「沖縄体験学習」に行きます。その準備として、現代に至るまでの日本と沖縄の歴史を学びます。15歳の女子生徒は「ひめゆり資料館」の同世代の女生徒の運命に深い感慨を覚えるようです。
 私が沖縄で目が開かれたのは、「沖縄戦が『唯一の地上戦』というのは、実際に敵である米兵の顔が見える戦争をしたということです」という、佐喜真美術館の学芸員のお話でした。B29によって落とされた焼夷弾や原爆による惨禍も悲惨ですが、敵兵の顔が見える戦闘はその恐怖もはるかに大きかったのではないでしょうか。日本本土は戦場にならなかったこと、戦闘が行われていたのは主に中国大陸だったことにも気付かされたのです。
 こうした気付きをどう裏付け、教育に生かしてゆくかまだまだ長い道のりです。

 

 県内の中学・高校の先生が、時事のニュースや話題を切り口にした授業を紙面で展開します。

 

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■NIEアドバイザーのワンポイント講座(22)「平成最後」記事、宝物に(山崎章成/浜松与進北小)

 平成最後の年がスタートしました。歴史を記録する役割をもつ新聞は、平成も最後の数カ月に迫り、さまざまな形の特集記事を掲載しています。そんな記事の多くは、今起きている出来事を知ることだけでなく、過去を振り返り、未来を見通す貴重な資料になるはずです。歴史の歯車が大きく動くこの時期に生きる者として、個々の出来事だけを見るのではなく、より大きな視野を持つ絶好のチャンスです。今しか入手できない記事を見つけたら、保存することをお勧めします。
 時代の節目を記録した記事は、社会科や理科、総合的学習の時間などの教材としてだけでなく、学級活動や、朝の会・帰りの会の教師の話の資料、学校便り・学年便り、卒業アルバムの資料などにも役立てることができます。記事を活用できる寿命も大変長くなります。
 年末年始の紙面は、普段の日とは違った特集記事がいくつもあります。新聞を片付ける前に、今一度目を通すと、思わぬ宝物の記事が見つかるかもしれませんね。
 (浜松与進北小・山崎章成)