琴と三味線の修理70年、和楽器商の彦坂琴三味線店(浜松市)
21日朝刊「ソノ仕事×コノ絶景」で浜松市の和楽器商、彦坂琴三味線店を紹介しました。花街、千歳町と道路を一本挟んだ平田町で店を営み約70年になります。和楽器を巡る状況の変化を教えてもらいました。(の)
店主の彦坂誠さんが見せてくれたのは、三味線の胴に使う皮です。この写真はイヌだったと思います。伝統的に三味線の胴にはネコ、イヌの皮を使いますが、動物愛護の面から入手が難しくなりました。天然の皮は、その部分によって強度が違うので、そこをうまく使うのが腕の見せ所の一つです。代わりに合皮を使う場合もあります。ただ、合皮の場合は、天然皮革のように緩むことはないが、はがれてくるケースがあるそうです。
こちらは琴の胴を張るための道具です。彦坂さんは幼いころ、道具を積み木のようにして遊んでいたそうです。
こちらは琴柱を立てて、左手前に置かれているチューナーで音合わせをしているところです。琴柱は以前は象牙でしたが、今では多くがプラスチックになりました。弦も絹糸から化繊に代わりました。彦坂さんによると、化繊は強度があり、すべりやすく、決して悪い素材ではないそうです。「時代の流れであり、良い悪いではない」といいます。演奏者が道具の変化にどう付いていくか、また、演奏者が納得できるような音を出せる素材を用いることがメーカーには求められるといいます。演奏者の減少、出版不況などの影響で、譜面や教本が廃刊になっているそうです。「正月はやっぱり、琴で春の海を聞きたいよね」。和楽器が長く愛されると同時に文化をなくしたくないと思いました。
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