「夢は牛のお医者さん」時田美昭監督との対話(上)
8月26日夕刊の「シネマ通り」に、ドキュメンタリー映画「夢は牛のお医者さん」の時田美昭監督のインタビューを掲載しました。新潟の民放テレビ局が26年間撮りためた素材から出来上がった作品。その間、技術の変遷もあったようです。(橋)
▼撮影期間は1987年から2013年まで。記録媒体なども大きく変わったのではないでしょうか。
「1987年、最初に取材に行ったときはVTRですね。ちょうどフィルムから変わったばかりのころで、4分の3インチのVTRでした。映画化に当たって画質が心配でしたが、フィルムのような質感に仕上がりました」
▼近年はデジタルカメラですよね?
「最近はハイビジョンデジタルで撮っています。VTRのころは4対3でしたが、今は16対9。そんなところからも26年という時間の流れが感じられると思います」
▼膨大な素材を一つの映画にまとめる上で、何を主眼にしましたか?
「やっぱり『夢』ですね。主人公の成長記録が幹になる。そこに『枝』として、家族、古里、仕事の厳しさや喜び、そうした要素が伸びていきました」
▼「終わり」を見定めるのが難しかったのではないでしょうか。
「そうですね。実は高橋さんが獣医師の国家資格を取って働き始めたとき、夢のゴールという思いで番組を作ったんです(2003年、『NNNドキュメント』で全国放送)。でも、放送が終わった後に高橋さんが『ゴールなんかしてません。やっとスタートラインです』と言うんです。『ゴールっていつなの?』と聞いたら『そんなものはない』と。一人前の獣医師になるには、少なくとも10年はかかると言うんです。その言葉で気が付かされました。まだまだ夢は終わりじゃないんだと」
▼スポーツであれば分かりやすいですよね。
「例えばオリンピックで金メダルに輝いたとか、引退したとか。そういう場面はゴールになりますよね。でも、毎日が継続している仕事にゴールはない。今も彼女は現在進行形で夢を追っている最中なのかも知れませんね」
時田監督の話、もう1回書きます。「夢は牛のお医者さん」はシネマイーラ(浜松市中区)で29日まで上映。静岡シネ・ギャラリー(静岡市葵区)では9月20日から上映予定です。
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